スマホの評価BLOGや記事などがアテにならない理由

最近は、スマホなどのハイテク商品のみならず、あらゆる商品をまずは検索で調べて、評価が良ければ買う、なんていう消費行動が当たり前になってきた。しかし、スマホのようなものを実際に買ってみたら、レビュー記事なんかと違う、ってことはけっこう起きる。これはレビューしている記者とかブロガーがいい加減なのではなく、メーカーがレビュー記事を見て、特に発表などもせずに、少々スペックを変更したり、改良したり、ということを後でする場合があるからなんだな。

こういうことはけっこうよくある話で、メーカーでも商品の評判には敏感だったりする。また、細部の部品なども、作っている最中に調達ができなかったりして、違うものを使う、ってこともある。結局、ブロガーなんかの記事でよくある「ファーストインプレション」なんて記事があまりあてにできない、なんてこともけっこうあるのだ。

しょせん、ブロガーなどの「使う人」は素人。対して、「作る人」はその筋のプロである。同じ製品でも、ロットや生産地が変わると、中身も変えていかざるを得ないのだ。

 


技術はお金である

技術がなぜ求められているかと言うと、それがビジネスに直結するからだ。たとえば、インターネットのような国際デジタル通信回線は、インターネット以前にもあった。でも、使う企業や人が少なかった。それはコストが高すぎて使えなかったからだ。コストが高すぎて使えないものは、いくら素晴らしい機能を持っていたとしても、無いのと全く同じだ。例えば、目の前に3億円の高級車があって、水素自動車で壊れるまで燃料の補給を必要としないすごいクルマであったとしても、それを購買の選択肢に入れる人はまずいないし、できたとしても非常に限られているだろう。しかし、数十万円で買える軽自動車はいくら3億円の自動車と比較して貧弱で、使い方によっては毎週ガソリンを入れる必要があったとしても、買う人は多くいることだろう。「素晴らしい機能です」だけを言うのは、全くフェアではない。「素晴らしい機能だけど値段はバカ高い」という言い方がフェアである。あるいは「すごく安いクルマだけど、機能はそんなにありません」でもいい。

しかし、日本はアジアで最初の高度経済成長期を謳歌した時代があって、その時代にモノを作ってきた人たちはこの「価格とのバランス」という考え方をついつい忘れてしまう。特に大企業に雇われていただけの技術者とか研究者は「コスト」についてはほとんど無知だったし、退職後の今も、それで良いと思っていることが多い。

「どうです!すごいアイデアでしょう!」
「すごいですね!価格はどのくらいですか?納期は?」
「1億円です。1年でできます」
「じゃぁ、要りません」

と、なる。

インターネットがなぜここまで普及したかというと、かつては毎月数百万円のお金を払わないとできなかった国際間などの遠距離データ通信が、いまは毎月数千円でできるからだ。そして、そのインターネットがあるからこそ、その上に「IoT」が現在のバズワードにもなっているのだ。その証拠に、かつてのバカ高い通信料金でも、国際的な巨大製造業などでは、必要があるから、その通信にお金をかけるのは当たり前だった。当然、その時代には庶民が国際データ通信を使う、なんてことは、コストを考えれば、できるわけもなかった。言うまでもないだろう。

高度経済成長期という「幸せな時代」に育った研究者とか技術者が「使えない」と言われることが多いのは、コストについて、あまりに無頓着であるからだ。それでいて、自分たちは素晴らしい仕事をした、という記憶だけが残っていて、無駄にプライドだけが高い。時代は変わっていて、技術はコストとの兼ね合いでそれを使うかどうかが決められる、という感覚が全くない、という人があまりに多いのだ。いま、Amazonで「IoT コスト」というキーワードで商品検索をしても、数点しか商品が見つからない。コストのことを考えていない人がいかに多いか、ということなんだろう。

IoTが大きく騒がれているのも、かけるコストに対して得られる効果が大きい時代になったからだ。25年前、その技術は全部あった。しかし、今なぜ再びそれが騒がれているのかといえば、多くの儲けの低いビジネスでも、IT技術を使うのに、お金がかからなくなったからだ。技術の進歩とは、そのままコストである。今は、技術者にとって「コスト」は最重要課題なのだ。

 


生まれては消えていくIoT機器。なぜなのか?

このところ、様々なIoT機器があるので、見てほしい、というリクエストが来る。健康機器、ちょっとした便利機器、子供や老人の見守り機器。どれもこれも、作った人の家庭状況や、それを必要とする切実さが伝わってくる。当然のことながら、最初の「実験台」は自分の持つ環境で、「そこではこんなに役に立ちました」というエピソードが、機器のデモとともに語られる。納得が行く話が非常に多く、「そうだよなぁ」「これまでは大変だったですねぇ」と相槌を打ちつつ聞くことになる。しかし、数カ月もすると「売れませんでした、やめます」みたいな話が非常に多い。しかも、世間の経済状況がそんなにいい状況でもないから「辞めるけど、XXに事業が買収されました」という話も聞かない。そのまま事業そのものがなくなってしまうことのほうが多くなった。言い訳はけっこう他種類あって、でも共通しているのは「売れない」だ。中には大量の発注をもらったんだけど、どこも融資も投資もしてくれないので、受注残が多すぎて仕事が回らなくなった、なんてのもある。そういう場合は、あてにしていた部品が手に入らない、などということが一緒に和る場合もある。

世に問う製品としてIoT機器を作るときになにかが欠けている、と思わざるえを得ない。

こういった製品を作るときは、以下の条件を一つひとつ潰していく必要がある。

  1. アイデア
  2. ミクロなマーケティング・リサーチ→どのように製品を作ったらいいか?
  3. マクロなマーケティング・リサーチ→それがどのくらい世の中に必要とされ、いくらくらいであれば客は買うのか?
  4. 量産品・商品として、生産ラインを作って、月産台数を用意・確保できるのか?
  5.  部品や部材の調達は問題はないか?
  6. 損益分岐点はどこか?
  7. 営業はどうする?どのくらいのお金がかかる?それは事業として許容できる金額か?売り方はどうするの?それにいくらかかるの?
  8. 製品だけでなく、化粧箱、マニュアル、その他周辺にどのくらいお金がかかるか計算した?

などなど、まだまだ調べておくべきことがたくさんある。どの段階が抜けても、商品として成り立たないので、これらの項目を一つひとつ、潰していく必要がある。これは、ファブレスの場合も全く同じだ。要するに「こんな便利なもの作りました」だけでは、全く商品にならないのだ。それではアマチュアの電子工作で終わってしまう。最近の「ミニ・ファブレス・製造業」の危なっかしさは、実はこういうところにある。

IoTだ、サービスだ、ハッカソンだ、というけれども、実際には「その後」が商売としては非常に大切なものなのだ。そういうことを経験した人が少なくなっている。結果として、学生のハッカソンで終わってしまう、という、そういうIoTが増えている。

え?スマホでコントロールできる自動かき氷機?そんなの誰が使うの?てなもんである。

 


IoTの無線と電源と、現代のIoTエンジニアの話

このところ、様々なIoTの実験機器を作っている。特にLPWAの機器、ZigBeeやBLEの機器などは、無線というものが入るので、非常に面白い。しかも、最近では製品レベルでの技適が取れていなくても、正式に電波を飛ばせるモジュールレベルでの技適取得のものが使えるので、簡単な電子工作では、かなり重宝している。こういった低消費電力でローパワーの無線によるデータ通信の規格は、日本で使う場合の多くは「ARIB STD-T108」という規格を使っている。この通信手順は使う側から見ると非常に簡単で、通常はシリアル通信でデータの送受信を行う。この使い方を覚えるだけで、通常はどこのモジュールも似たようなものを使っているので、簡単に通信ができる。ただし長距離のものは通信速度が遅く、このプロトコルにかぶせてTCP/IPを載せる、というのはあまり現実的ではない、と思われており、現状はあまり使われていない。そのため、LPWAのゲートウェイと称する機器が、TCP/IPの終端となって、それ以降の端末側はARIB STD-T108を使う、ということになる。

一方、これらのモジュールをIoT用と言われるRaspberry-Piなどのコンピュータに通常は5VのTTLレベルのシリアルで通信モジュールと接続して通信を行うわけだが、こちらはまさにアプリケーション次第で、いろいろなものが考えられる。ここがIoT技術者の腕の見せ所、という感じだ。

そして、IoTで大切なのは電源だ。アマチュアでも無い限り、いかに低消費電力で動かすか、ということに注力するのは当たり前のことだが、実は、このあたりは使うモジュールにどうしても依存するところだ。まさにスペックを読む力が必要になる。どのモジュールを使うか?という選択のとき、いかに低消費電力のモジュールを選ぶか、ということが必要になる。

いずれにせよ、現代のIoTなどのハードウエアが絡む仕事では、電源のことなどが象徴的だが「いかに多くのデバイスやセンサ、ソフトウエアを知っているか?」というおkとが非常に大切であって「なんでもできます」ということは、逆に余り必要なくなってきた。世の中に現在あり、毎日変わっていくデバイスなどの情報をいかに集め、自分の中で選択できるか、ということが重要になってきた。まさに「1行1行プログラムを書くエンジニア」は、必要な場面は永久になくならないのだろうが、それを必要とする場面も、どんどん減っていることも確かだ。

現代のIoTエンジニア。それはコツコツと黙ってなにかを作る、というイメージではなくなってきた。情報を収集し、収集した情報をいかに調理して、業務に適応させるか、ということが大事になってきたのだ。それはおそらく、エンジニアというよりは、ジャーナリストの仕事に似ている。

 


Intel & Micronが発表した「不揮発性メインメモリ」の衝撃

米国インテル社と米国のメモリメーカーマイクロン・テクノロジーが5月15日-18日に開催されていたSAPのカンファレンスで、「Intel Persistent Memory」という、メインメモリを電源が切っても消えない不揮発性のものとするテクノロジーを発表した、とのことだ。この技術を使えば、PCやサーバーの電源断でもメインメモリーの内容が保存されるから、OSの立ち上げ、などという作業も必要なくなるし、現在のシャットダウンとかそういう機構も必要なくなる。

最初にこの記事を見て真っ先に思ったのは、現代のPCアーキテクチャのままで、そのアキーティチュア向けのOSのままだと、セキュリティ脅威になるって、ことです。電源切っても稼働終了時の記憶がメインメモリにあるわけだから、シャットダウン時にメインメモリクリアをするとか、稼働開始時にメモリをクリアしてからプログラムやデータを再ロードするとかが必要になる。捨てる時はHDD破壊だけではなく、メインメモリの破壊も必要になる。当然、このメモリを使ったPCやスマホは全く違う仕組みを考えないといけない、ってことだね。

一方で、すごいメリットがある。これがあるとHDDやSSDなしでストレージもメインメモリに配置できる。HDDのSATAとかのインターフェイスも必要ない。メインメモリ数TBの中に全てを入れておける。OSのファイルシステムも変更してプログラムはメインメモリ上に常に置いておき、プログラムのロードの時間をゼロにできる。ポインタ移動だけでプログラムを起動できるからね。メカニカルな部分がコネクタを含めて完全になくなれば、自動車や宇宙船などの振動が激しいもののコンピュータとして最適であることはいうまでもない。

実は、1990年代にぼくはこういうメモリを使ったPCのOSについて研究して、一定の結論を得た。そのときは誰も見向きもしてくれなかったけどね。英文で書いたのがどっかにあるなぁ。

コンピュータのリソースの全てがメインメモリ上に配置されると、ノイマン型のコンピュータはこれで最後にして最強。そうなるよ。

 


最強のセキュリティ:Linuxを使う

このところ、ランサムウエア「WannaCry」が世界中で猛威をふるっているが、実際のところ、これはWindows、iPhone、MacOSには感染するらしいが、Windowsも古いWindowXPのみが感染する、と言われているものの、WindowsXPの後期以降のものも感染する場合もあるらしい。古いOSを使い続けている、ということでなければ、まず大丈夫であるようだが、日本での感染例はあまり多いとは言えないのが現状だ。だからといって、今回のWannCryの次にもいろいろなランサムウエアやウィルス、マルウエアの新手がやってくることは間違いない。油断はできない。

そこでお薦めしたいのが、無料のOS、無料のOfficeスイートが付属している「Linux」だ。最近はLinuxといっても多くのものがあり、とりあえず、メジャーなのはUbuntuというLinuxだ。私はこのBLOGもUbuntuのデスクトップからアクセスしているのだが、ウイルス被害には会ったことがない。実はLinuxでもウィルスはある。しかし、あまりメジャーではないので、なかなか狙われないのだ。ウィルスの作者というのは、世の中に影響の大きいものを狙うので、世の中に余り影響の無いマイナーなOSは狙われない、というわけだ。

しかも、最近のLinuxはかな漢字変換から、Officeに至るまで、Microsoft社のファイルは全て読み書きできる。問題はないわけではないが、デフォルトの文字フォントが少々違うために、文書のレイアウトが多少崩れる、という程度だ。こういうことは使っているプリンターの違いなどでも出てくる問題であり、通常はそういう問題が起きないような文章の書き方を学んでいないほうが悪い、と言われるものだ。

よりディープなOfficeの使い方として、VBAなどのスクリプト言語を使っている文書というかプログラムそのもの、みたいなものなどがあるが、Linux用のOfficeにはその機能はないので注意が必要だが、通常はVBAを沢山使う文書や表計算の表はないので、ふつうは問題が起きない。

後はいわば「慣れ」の問題が大きいだろう。慣れてしまえば、どのOSの環境も似たようなものだ。

セキュリティに最強のOSとOffice。現在はこれしか選択肢はないのではないか。

 


IoTの機器を実際に作って見ると

IoTの機器を実際に作ってみると、前に書いたフィードバック系が必ず必要、という話も重要なのだが、実は機能よりも「ケース」が大事だったりすることはかなり多い。一番多いのは、見た目をきれいにすること。これは商品としてかなり重要なことだ。そして、防水や防塵の仕組み。電源を外から取るタイプであれば、電源ケーブルを防水のままどうやって内部に入れるか?などの問題もある。さらに、防水、防塵の他、その機器の使用温度もある。真夏の日照りの中で、木陰もないところでは、温度が80度に行く、なんてのはけっこうあって、ケースも膨張する。その時隙間ができないようになっているか?なども重要だ。工場の中で使うとか自動車の中で使う、ということになれば、振動なども十分考慮する必要がある。長時間振動にさらされると、ネジが緩んだりするのだ。

アマチュアでやっているときは、こういうことは自分の都合で自分がなんとかすれば良かったが、お客様のいる「仕事」ではそうはいかない。実際にスペック通りのものができたとして、本当にお客様がほしい、その環境で大丈夫か?というとは十分に考慮されなければならないし、納品前には、スペック以上の過酷な環境条件を作って、実際に動かして見ることが必要になる。

さらに、機器そのものはスペック通りのものができたとしても、今度は「保守」という問題もある。納入したその機器が壊れたとき、24時間稼働ですぐに取り替える必要があるのか?それとも、数時間後でも構わないという機器なのか?保守の人員の「教育」も考えなければならないし、保守に払われるお金はどのくらいなのか?ということも客先と交渉する必要がある。

実際、そのIoT機器の機能を作るだけで満足できないから、どうしてもケースなども作る必要がある。ケースを作るのは、図面が必要になる。その図面を誰が書くのか?など、かなり多くの「やらなければならないこと」が山積する。それがプロのIoT機器を作る仕事なのだ。

私がやっているセミナーでは、こういったプロの技、というものも多くご紹介しているが、こればっかりは場数を踏む、「経験」がやはり必要になる。

IoTとはアマチュアの「電子工作」のことではない、というのはこういうことだ。

 


「デバイス独立」な個人通信の普及

最近は「デバイス独立(Device Independent)」な個人同士の通信が普及してきた。要するに、LINEとかFacebookメッセンジャーのことだが、最近は電話もそうなってきていて、私も「IP電話」を非常に良く使っている。デバイス独立の個人間通信の良いところは、それが電話機であろうがPCであろうが、同じ電話やメッセージを受けたり送ったりできる、という利便性にある。LINEはこの「デバイス独立」の流れから多少離れていて、スマホを取りかえるときは、そのデバイスの持つ(あるいは関連付けられる)電話番号に紐付けをしないと使えないようになっている。LINEの違和感は、この「デバイス独立」を守っていない、というところにある。根本的にネット時代の個人メディアとして、問題があるのだ。

デバイス独立は、これからの通信の流れであることは言うまでもないが、デジタル時代によくあった通信方式であることは論を待たない。思えば、スマートフォンやタブレット、携帯電話で使っている「SIMカード」も、本来はデバイス独立のための方式だったが、それが通信キャリアに骨抜きにされてしまい、前近代的なメディアとしての電話しか日本では普及なかった。しかし、今日現在、多くの人がFacebook messengerやLINEで私のところに電話をかけてくるようになった。時代は変わったのだ。

この「デバイス独立」という通信の思想を持つか持たないかで、これからの現代デジタル通信の普及の度合いが違ってくるだろう。いつまでも世の中は同じではないのだ。

 


IoTには「フィードバック」が必要

消毒装置をIoT化したら、おかしなことになった、という記事。前々から私のセミナーでは言っているのだが、IoTでの重要な要素の1つは「フィードバック」による現場確認なのだ。

たとえば、東京でボタンを押すと、サンパウロの街灯が点灯する、というシステムを考えてみよう。アマチュアであれば、いわゆる「Lチカ」ということになるから、書いたプログラムの通りに目の前のLEDが光るかどうか?で終わるので、人間がその操作の結果を目の前で確認して終わる。そこには「人間系」のフィードバックシステムがあるから、動作確認ができている。思った通りにLEDが光らないのであれば、目の前の機器のどこかに配線間違いがあったり、部品不良があったり、プログラム不良があることを追求できる。

しかし、遠隔地で街灯を光らせる、ということになると、人間系は使えないことが基本である。システムでフィードバックを得る他はない。つまり「東京でスイッチを押したら、サンパウロの街灯が光る」システムにおいては「サンパウロの街灯が思い通りに光ったかどうか?が東京でわからなければいけない」ということだ。ついでに言えば、通信回線がつながらなかったときはどうするか?電源が切れていた場合はどうするか?街灯のランプやLEDが壊れていたらどうするか?街灯が盗難にあって、なくなっていたらどうするのか?ということも考えてシステムを作っておく必要がある。それがアマチュアではない、現場のプロのシステムである。

東京からサンパウロであればまだいい。東京から軌道上の衛星の中のシステムであったらどうだろう?壊れたときに飛行機で飛んでいって修理するわけにはいかない。宇宙開発ではそういうことが当たり前であることは言うまでもない。無人の衛星が打ち上げられた直後に、衛星のシステムのバグが発見されたときのことも、考えておかなければならない。この場合はフィードバックシステムを入れたうえ、遠隔地でのシステムそのものの補修もできるようにしておくのは必須なのだ。

当然だが、東京からサンパウロの街灯を制御するとき、フィードバックの結果としてNGが出た場合、どこに連絡してなにをしてもらい、その進捗はどう管理し、報酬はどうするのか?というような人間系のシステムが関わってくる。IoTは良いのだが、その周辺はやはり人間系で固める以外にない。そういうコストを無視してIoTシステムを作るのは、プロとしてはやってはいけないことだ。

フィードバックのことを考えていないシステムはプロの世界ではありえない。

 


UPQの問題はそのまま今後のファブレス「スタートアップ」の問題

若手のスタートアップ企業の雄と思われていた「UPQ」で「ディスプレイのスペック誤記の対応」「スマホの電池の爆発」という問題が立て続けに起きて、ニュースを賑わせている

【誤記対応問題】
会社としての、プロダクトのクレームに対する処理の問題、誤記の問題は、会社規模としてしょうがないところもあるが、日本社会、特にネットではかなり大事として捉えられた。「今までの日本企業に比べて劣っている」という印象だけが残っている、残念な対応ではあったが、今では欧米やアジアの企業も、こんなものではある。しかも、問題の発生も対応も人的なもので、製品そのものというよりも、会社の体制の問題である。逆に言えば、人的な対応を工夫すれば、これから改善されることだろう、と読むこともできる。これは同社のスマートフォンの技適問題にも言える。

【バッテリー爆発の問題】
発表された記事を良く読むと、その「爆発した」スマートフォンが発表・発売されたのは、2015年とのことだから、既に発売から2年前後の経過時間がある。スマートフォンのバッテリーはその充電頻度にもよるが、毎日充電と放電を繰り返していると、だいたい2年で性能が目立って劣化する。通常の現代のスマートフォンユーザーであれば、2年もたてば機種変更で、電池ではなく、本体ごと交換の時期にもなる。通常は本体ごと交換だろう。しかし、電池を入れ替えれば長く使えるものでもあるので、2015年発売の機種ということであれば、そろそろ電池を入れ替えて使う時期でもある。劣化した電池を使うと、充電時間も長いわりに、充電がなかなか終わらない、ということが起き始める。このとき、充電と放電を司るスマートフォン内にある電気回路は、電池の劣化したことを察知して、爆発のなどの事故が起きないように、自動的に充電のやり方を変えるのが普通だが、充電の電気回路が簡易なもので、電池の劣化を察知できないものであった場合は、爆発などの事故に至ることがある。今回の事故は、要するにそういうことではないか?であれば、電池の問題ではなく、充放電回路の問題、ということになる。

【スタートアップ企業の問題】
UPQは工場を持たない「ファブレス」のスタートアップの企業である。製造業というカテゴリーの企業でありながら、実質は「商社」のようなもので、仕入れと販売の価格の差は「ブランド代」ということになる。製造業の面倒なところを知る企業でもないし、製造業の歴史はもちろんない。従って、外注に製造を委託するときに「2年後のバッテリー劣化では製品は大丈夫でしょうね?」という基本的な質問も、UPQから製造業者にはなかったはずだし、それが企業存続に重要な問題である、という認識もなかったはずだ。であれば、こういう問題は起きるべくして起きた問題である、と言えるのではないだろうか?今は製品開発から量産、梱包、輸入などなど、みな製造業者が頼んでお金を出せば短期間でやってくれる。しかし、その製品は客は長期で使うものばかりだ。ファブレス企業といえども、製品開発や製造の経験がないと、後に起こるであろう大きな問題が小さなもの、あるいは見えないもののうちに対処する、ということができない。経験は重要なのだ。

【日本の市場は「高品質」が当たり前】
翻って、消費者を見てみよう。日本の消費者は安いものでも「高品質」に慣れている。まさか電池の劣化で電池が爆発する、なんてことは思いもよらない。日本以外の市場では安いものは低品質であり、高いものは高品質である、ということは常識である。従って、低品質のものはトラブルが当たり前でもあり、トラブルが起きたときは製品交換で対応するのが当たり前だ。今の日本の消費者は「安かろう、悪かろう」を知らないのだ。こういう市場にスマートフォンのような労働集約型のしごとでできた製品を投入するときは、消費者の抱く製品イメージと中身がもともと、かなり乖離している、ということを念頭に置いて、サービス体制などを作る必要がある。

UPQという会社は立ち直れるだろうか?それは現時点では全くわからない。しかし、もし立ち直れたとしたら、こういう問題を1つ1つ経験として積み上げ、成長していってもらいたいものだ、と思う。