クラウドブック – Chromebookは「文房具」

クラウドブックの雄たる「Chromebook」はこれまでのPCとは全く感覚が違う。

たとえて言えばコンビニで売っている使い捨てのひげそり。もうひとつたとえるならば、街頭でのアンケートのときに渡される使い捨てのボールペン。何度も使おうと思えば使えないことはないが、耐久消費財という感じがないのだ。

かといって単なる使い捨ての低品質なものかというとそうではなく、そこそこまともに使える。値段がすごく安い。

たとえば、主婦の方にテキストの打ち込みのアルバイトを頼むとき、Chromebookを作業用として渡し、作業が終わったら、Chromebookは差し上げます、ってことができる。そういうPCがChromebookなのだ。

Chromebookはそういうわけで、別の面から言えば、「PCヲタク」を完全に消滅させられるパワーを持つ、と、ぼくは思う。ラジコンとかクルマのようなものではないのだから、PCなんて趣味にできなくなる。それは贅沢品でもなく、訓練しないと使いこなせない、というものでもない。値段も安いから、それを持っていても優越感とか所有欲を満たさない。

単なる道具である。道具に徹したPCが、クラウドブック – Chromebookということだ。

単なる文房具、といって良いだろう。趣味としてのデジタルガジェットの面白みとか愛着などはどうでもいい。使えればそれで良い。だから、従来のPC大好き、という人向けではなく、あくまで道具としてPCを使いたい、という人のための道具だ。

 


クラウドブックのセキュリティは非常に強固

ところで、Chromebookに代表されるクラウドブックの一番のポイントは現状で2万円台、と、価格が非常に安いことだが、誰しも気になるのはセキュリティだ。結論からいうと、現状はかなりセキュリティが強固だ。まず、アプリケーションが動作する本体プログラムはサーバー側にあるから、サーバーのセキュリティはどうしても強固にせざるをえないわけだが、サーバー側はかけるお金が集中するところでもあり、セキュリティもまたお金をかけて非常に強固にせざるをえない。また、データをクラウド側に置くのがデフォルトであるため、PC側に侵入されてもデータはなく、データを盗む側にPC内のデータを盗む意味がない。さらに、OSがよく知られたWindowsではなく、Linuxであるため、ファイルなどの構造も違うから、今までにハッカーが持つ知識の蓄積が役に立たない(現状では)。など、特に企業内情報システムセキュリティ関連の管理者には嬉しいことばかりだ。また、アプリケーションソフトウェアやOSのアップデートなども知らないうちに行われるので、起動時や終了時などにアップデートで待たされることもない。また、構造的にウィルスやスパイウエアは存在できなくなるので、今までPCを重くしていたセキュリティソフトも必要ない。

ただ、大きな問題がないわけではない。まずサーバー側の不具合はすべての端末に影響を与える、ということや、ネットの通信回線がコケると、すべての端末が使えなくなる、などのリスクが伴う、ということもある。これもセキュリティの不安といえば言えるものだろう。また、サーバー側がハッキングされるとすべてが動かなくなったりするわけで、サーバー側のセキュリティ対策が重要になる。

結論から言えば、クラウドブックのセキュリティは基本的に強固で満足できる。しかし、回線やサーバーなどのインフラの不安定が問題となるが、それはこれまでのPCだって同じことだ。

クラウドブックにおけるセキュリティは、サーバー側で守られる。これから、サーバー管理者は大変であるが、その代わり、PC側ではセキュリティについてほとんどすることがなくなる。

 


Chromebookはハードとしては低スペックだが

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いま使っているChromebookはASUSのC300M(日本での正規品では現在はC300MAというメインメモリ4GBのものが売られているが、最後のAがつかないものはメインメモリが2GBだ)だが、新品だと2万円台前半、中古だと2万円を切る。CPUはCeleron N2830でメインメモリがたった2GB、ストレージはフラッシュメモリ16GBといういままでの基準からすると、なんだこれ?実用になるんかい?ってカタログスペックだが、使ってみてびっくり。これが十分に使える速度でサクサク動くのだ。

言われてみればそうだが、メモリが少ない分電池も持つ。Windowsじゃないからメモリも食わないので、これで十分。昔はメインメモリがないと、日本語環境なんかがメモリに常駐するので、それが辛い、という時期があったわけだが、今はそういうことはない。また、電池も13時間持つ。それでいて、HDMIとかUSBとかSDメモリカードスロットとか必要なものは一通りついている。人気がないのはおそらく宣伝があまりされていないのと、スペックが低いからだろうと思うが、実際に使ってみると「これで十分」というのが正直な感想ではある。

立ち上げるたびにUPDATEで待たされて、終了時にはシャットダウンに気を使う他のOSとは雲泥の差なうえ、起動も数秒、シャットダウンも数秒だ。HDDを積んでいないから、そのままパタン、と閉めて終わりにして、さっさと会議室から持ちだしても、機械的ショックを気にする必要もない。しかも電池寿命が13時間ある(カタログ上だが)から、そのまま忘れても電池の減りも少ない。

他にも、さまざまなメリットがあるが、会社や役所などの組織では、会社中に散らばるPCを一元管理が可能、というところがいいだろう。ISMS的にも、データなどをPC上に置くことがなく、セキュリティも万全になる。

しかし、繰り返すが、驚いたのはこの低スペックなのにその動作の軽さが半端ではない、ということだ。日本のようにまだまだPCにお金を払える先進地域では、PCに最低でも5万円を使うだろうが、そのお金も出ない地域では、Chromebookは大きなメリットがあるだろう。もちろん、先進地域でも、大きな金銭的、セキュリティ的メリットがあることは言うまでもないが。

 

始まったのは「クラウドブック – Cloudbook」の時代だ。

昨日、新たにMicrosoft社が発表したSurfaceなどの製品は、クラウドを全面的に取り入れ、機能の拡張などはクラウドを使って行われるようになっている。また、以前からGoogleが「Chromebook」という、クラウドベースで動く、200ドルくらいの安価なノートブックPCを販売しており、米国ではこれがMacBookの売上をしのいでいる。

こういったクラウドを背後に背負った、新しいPCにはまだカテゴリの名前がない。私はこれを人に紹介するとき「クラウドブック」「Cloudbook」という名前で呼んでいる。

クラウドブックの時代がもうそこまで来ているのだ。

しかし、クラウドブックの良いところは、なんといってもセキュリティ、情報漏洩などの危機管理が非常に簡単に行える、というところだ。ISMSの管理者などにとっては大きなメリットがある。なにせPCを盗まれ、そのPCにパスワードがかかっていなかったとしても、情報はPCの中になく、盗まれたPCを特定してそのアクセスを簡単にブロックすることもできるようになるのだ。加えて、ChromebookのようにPCが安価になることによって、盗難する価値もなくなるから、盗難に会いにくくなる、ということもある。クラウドブックが安価であることは、企業や組織にとって金銭的なメリットをもたらすだけではなく、こういったセキュリティのメリットも大きくなる、ということでもあるのだ。

たとえば、現在日本では実用に耐えるクラウドブックであるChromebookのPCの価格は、高くても2万5千円ほどだ。しかし、いまどきオフィスで使うPCの平均的な価格はだいたい6万円くらいが下限だろうか。となれば、1台あたりの差額は3万5千円。ちょっとした企業になるとこれを数百台買う、ということになれば、その金銭的メリットは大きなものになることはいうまでもない。加えて、盗難にも会いにくくなるし、たとえ盗難に会ったとしても、データは保護されて一切漏洩しないうえ、盗難による損失金額も低く抑えられる。

デメリットとしては、クラウドのサーバーを維持している会社が倒産したりサービスを停止したりしたときはシステム全体が止まってしまったり、データの盗難がクラウドのサーバー側で行われると、どうしようもない、ということがある。加えて、ネット接続回線がなんらかの問題で停止すると、業務が全部止まってしまう、ということがある。これらの問題への対策は導入にあたって、十分に考えておく必要があることはいうまでもない。

セキュリティ、価格、あらゆる面でこのデメリットを考えても、企業や組織にはクラウドブックのPCを入れるメリットは計り知れない。

無料のPCの時代がやってくる

昨日からChromebookの話で恐縮だが、実はWindowsも10の次はChromebookと同じ仕組みで動く、クラウドベースのものに変えていく、というアナウンスが既にされている。ソフトウエアもデータもクラウドで管理するタイプになるとのこと。つまり、毎月のクラウドの利用料金だけで使えるPCが当たり前になる、ということだ。そうなると、PCの本体の価格はゼロでもいい、というビジネスモデルも出てくることだろう。携帯電話やスマートフォンのように、本体は無料かそれに近い金額だが、クラウドの利用料金だけは毎月払わないとPCが使えない、ということになるだろう。その代わり、ウィルスの心配はなくなり、ソフトウエアはサーバー側で勝手にアップデートされたものを使うことになるから、アップデートでいらいらさせられることもなくなる。

一方、趣味のPCの時代は終わり、自作PCなどはごく一部のマニア向けのものを除いてなくなっていく。これからもスタンドアロンのPCを使いたければ、Linuxを自分でインストールするなどするしかなくなるだろう。しかし、その頃には、Linuxを載せることができるほどのCPUパワーとメモリやストレージを持ったハードウエアは需要がなくなってきて、非常に高価なものになるだろう。また、ウィルスやスパイウエアのソフトは需要がなくなるだろう。

現在のWindows10やWindows8.1、さらにMS-Office365などを見ていると、Microsoft社もChromebookと同じ方向を向いていることがよくわかる。仕組みということでは、Chromebookが先行しており、現時点でChromebookを使って見ることは、PCの将来を見通す上で大変に参考になる。その使った感じが大切なのだ。Appleはこの流れを見越して、iTunesなどの仕組みを変えた。

ビジネスで言えば、GoogleやMS、Appleのようなインフラを自前で持てる企業の社会的重みがいっそう増す。加えて、クラウドの要とも言える通信事業者もまた、大きな社会的な責任を負わざるを得ない。

Chromebookを使うと、その先にあるITの未来が見えてきた。クラウドでは「仮想化」とかそういうキーワードが大切なのではなく、こういった世界的なIT利用形態の変化、ということが中心になるのだ。

Steve Jobs / Steve Wozniak が「知的自転車」としてはじめたAppleのPCは、近い将来は世界を覆う巨大なシステムとして大きな唸り声をあげて人類の未来への道を突進している、という感じがする。その先の未来が明るいものなのか?あるいは暗いものなのか、それはわからないのだが。

米国ではMacBookを越す勢いで売れているChromebookだが、日本にはなかなか来ない。しかし、Windows10の次のバージョンが来たとき、やっと消費者はChromebookが先進的なものであったことに気がつくだろう。時代がめぐって、次の時代が来たことを知るだろう。

 

   

Chromebookの時代が来たのかもしれない

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ネット上には「ステマ」も多いけれども、その逆に、話題になってほしくないもののネグレクトも非常に多いんじゃないかと感じることが多い。政治の話ではなくて、ITの関係のプロダクトの話でもそう感じる。その中でも特にそれを感じるのは、GoogleのChromebookだ。いまやChromebookは米国ではMacBookよりも売れている。しかし、日本ではなかなか流行らない。家電量販店の店頭などでもあまり多くは扱っていない。日本ではPCといえばWindowsかMacBookばかりが売られているのだが、日本独特のこの現象には理由があるのじゃないかとぼくは思う。Chromebookは「安すぎる」ということがあるんじゃないかと思うのだ。米国でChromebookがバカ売れしているのは、とにかく安くて、必要なことはとりあえず出来てしまう、ということがあるからだ。米国でのChromebookの価格は150ドルから250ドルくらい。日本では、2万円を切るものもある。必要十分で、とにかく安い。これがChromebookというものだ。

日本のPCなどの製造メーカーも、販売業者も、Chromebookがいくら米国でダントツに売れているとはいえ、こんな末端価格では、とてもじゃないが利益は出ない、ということで、あまり扱いたくない、と、言う力学が働いているのだろう、とぼくは勝手に想像している。

たしかに、手元にあるChromebookのスペックを見ると、CPUがCleleron。メインメモリが2GB、HDDの代わりになるフラッシュメモリのストレージもわずか16GB。まるでスマートフォンだ。しかし、ディスプレイは13インチ、キーボードも日本語キーボード、無線LANは通常よく使う2.4GHzに加え、セキュリティ的にも強い5GHzもサポート。PCらしくHDMIのインターフェイスもUSBも複数揃っていて、もちろん日本語環境もOKだ。価格はいま2万円台前半。もっとも、現在売られているものはメインメモリが4GBになっているから、ぼくが使っているものよりはスペックが少々高い。それでも2万円台前半であることに変わりはない。ハード的なスペックを見ると、「こんなので大丈夫か?」と思ってしまう。しかもChromebookはWindowsのPCなどで走る「Chrome」というGoogle製のブラウザだけで動いている。しかし、実際に使ってみると、Googleの強力なクラウドのバックボーンと接続されているから、非常に使い勝手がいい。日本語入力も全く問題ないし、Facebookもtwitterも当然だがサクサク動く。OSはLinuxをベースにしたものとのことだが、OSのコマンドラインは目の前に一切出てこない。OSの無線LANなどの設定も実に簡単。Microsoft-Officeで作ったファイルもクラウドベースのアプリで読み書きができる。ストレージもクラウドで用意されているものを使えるから、全く問題ない。しかも、起動にかかる時間は数秒。シャットダウンも数秒。さらに、外に持ちだしたときの電池の持ちが13時間。全く問題ない。

消費者にとっては、「これならWindowsやMacを使う必要ないじゃん」と言いたくなる。しかも価格が安い。安すぎる。「世界の人にあまねくインターネットを」という理念で作られたChromebookは必要十分な機能とスピードを持ちながら、とにかく安い。実はこの投稿もChromebookを使って書いている。たとえば、CPUパワーを必要とするビデオ編集などをしないのであれば、これで充分、というのが今の気持ちだ。

思うに、この価格のものを大量に日本で売るには、現在の販売体制そのものを見なおさないといけなくなるだろう、と思う。Chromebookの価格は衝撃である以上に、革命とも言える。しかも、これまで培ってきたWindowsのPCなどとは違うものだから、これまでのノウハウも役に立たない。とは言うものの、最初の立ち上げ時に必要なものは、GoogleのアカウントのIDとパスワード、無線LANにつなげるパスキーの3つだけだ。

「水は高いところから低いところに流れる」。同じことができるなら、高いものではなく、安いものが売れる。これにいくら抵抗しても、限りがある。抵抗はすぐに破綻することだろう。いま、日本のPCの販売業界はChromebookという「革命児」になんとか抵抗しようとしているが、崩れるのは時間の問題だろう。とにかく安いのだ。

いまChromebookは日本HPとか台湾のASUSとかで売っていて、Amzonなどでは並行輸入品も買える。元が安いので、いくら高く売ろうとしても限りがある。おそらく、日本もこれから「2万円PC」の時代になることだろう。既にWindowsも、Windows10の次期バージョンではChromebookのように、大幅にクラウドを取り入れることが決まっているという。Chromebookはその先陣を切って、「2万円PC」の尖兵となっている。価格に敏感な学校や企業などへの導入が始まれば、勝負はついてしまう。できるだけ早くChromebookを大きく扱ったところが、今後のPC市場の勝利者となるような、そういう予感が私にはある。