世界のソフトウエア開発の主流は「オープンソース」。

最近はICTの業界も世代変わりの時期なんだなぁ、と、思うことの大きな変化に「オープンソース(Open Source Software – OSS)」がある。明らかに、旧世代と新世代の溝はここにある。実際、世界的にはOSSのソフトウエアを使うことが「主流」になりつつあるんだが、日本のメーカー系のソフトウエア開発者やその周辺は、いまだに1からコードを書く「スクラッチ」に普通にこだわっていることが多く、おそらく、今後はさらに日本のソフトウエアは大きく世界から遅れていく可能性が高い。

OSSで作られた製品は実は普通に身の回りに数多い。代表的なものはプリンターのファームウエアや、デジタル家電、最近はAI搭載スピーカー、そして、インターネットとの接続口に必ずあるルーターなどは、OSSを大幅に取り入れているものとして、知られている人には知られている。実は数多く、OSSは使われているのだが、多くの人は知らない。また、Webの開発で使われるCMSも、ほとんどOSSである。こちらはインターネット上に直に晒される環境のため、世界中野多くの人が使い、多くのエンジニアが常に監視しており、セキュリティは特に気をつけて開発されている。有名なOSSは、毎週のようにセキュリティ・パッチ(セキュリティの更新のためのプログラム)が配布されている。

物事の変化は「メリット」と「デメリット」の天秤で、「メリット」のほうが明らかに大きい場合、新しい変化が訪れる。日本で変化が起きないのは、日本という土地では、「デメリット」のほうが大きい、と考えられているからで、ある意味日本のICTの遅れというのは、「当然」と言われるのかもしれない。なかなか世界の流れに乗って「変わる」ことができない社会が存在し、その社会の中ではOSSのような新しい変化はなかなか市民権が得られないのだろう。しかしながら、ICTについてはインターネットなどグローバルなものがベースにあるので、OSSを当たり前に使った開発体制や製品が世界的にあふれている昨今では、明らかにOSSへの対応がなければ、日本のICTが全体として世界に遅れた「ガラパゴス」になることは避けられないように思う。

特に、「人工知能」「IoT」などの分野は明らかにOSSの独壇場であり、OSSなくしてこれらのシステムの開発はありえない。

OSSを使うメリットは以下だ。

  1. ソフトウエア開発の時間が大幅に短縮される。
    ソフトウエアの開発のコストはすべて「人件費」である。それはそのまま「開発にかかる時間」であることは言うまでもない。
    「半製品」として、あるいは「パーツ」としての「OSS」を使うことによって、当然ソフトウエア開発の時間が(一からソフトウエアを作るよりも)短縮される。
  2. 世界中のエキスパートが開発や検証に関わるためセキュリティが向上する。
    実はOSSが使われる大きなメリットの2つめはセキュリティの向上だ。世界中のエンジニアが「検証」しているのが現在のOSSであり、そのため、ネットのあちこちにOSSのセキュリティ情報があり、より安全なシステムを構築できる。また、セキュリティホールが見つかった場合でも、電光石火の速さでその情報がネットを駆けまわり、多くの人に周知され、あっという間に「修復」される。多くはその週のうちに、無料でセキュリティパッチが配布される。

それにしても、OSSへの「恐れ」を多く持つ日本のソフトウエア関係者は多い。なぜだろう?

日本でOSSが流行らないわけ。

  1. 「現在のOSS]と「フリーソフトウエア」を間違えている。
    現在無料で入手可能なOSSはPCのエンドユーザーが使っていた「フリーソフトウエア」とは全く別だが、これらが混同されている。
  2. 日本の開発者が時代についていけていない。
    日本の、特に日本のメーカーに勤務するソフトウエア開発者の多くは、若いときの経験が現在に生きるものだ、と思っているだろうが、ソフトウエアの世界では5年もたつと5年前の話は「弥生時代」である。10年前は「縄文時代」くらいの感覚の差がついてくる。特にここ5年での動きは非常に急であり、それ以前のICTの専門知識だけでは全く理解できないことが多い。この世界で仕事をする以上、常に勉強を怠るわけにはいかないのだ。
  3. モノ作り」への執着がOSSへの理解を拒否している。
    ソフトウエア開発は「モノ作り」「製品開発」だと思っているのは大きな間違いである。実際のところ、ソフトウエアは通常において不可視であって、非常に複雑なものだ。性質としては、人間社会とキカイの社会の中間地点に存在するものなので、製品として作ったつもりのものでも、リリース後に、常に新しい状態に保っておく必要がある。最近のWindowsなどのOSでのアップデートを見るとわかるだろうが、あれは「Microsoftの技術者の技量が落ちたから」長いアップデートの時間をとっている、というものではない。OSは「完成品」ではなく、社会とつながったものなので、社会の動きに合わせて、常に変わっていくものなのだ。つまり、世界的に、現代のソフトウエアというものは、従来の「モノ作り」の枠内で考えてはいけないものだ。

先進的なOSSを使ったソフトウエアの開発は、(1)まず機能要件をまとめた後、(2)その機能に必要なOSSをGitHubなどのリポジトリで探し、(3)実際に組み合わせて作ってみて、(4)機能の足りないところや不都合なところは独自開発する(多くはユーザーインターフェイスなどがそれに該当するだろう)。そういう流れになっている。既に10年ほど前から、入れ替わりの激しい家電である「テレビ」などは、OSSの塊である、と言ってよい。テレビを買うと、ついてくるマニュアルの後半分が全部英文のOSSのライセンスの表示に使われている、なんてことも多くなった。

最近多く使われている人気のOSSのライセンスページを開くと、それ自身が多くのOSSを使っていることがわかる。OSSがOSSを産む時代に入っており、ここで既に日本の多くのガラパゴスなソフトウエア開発は、数歩遅れている。開発者には「このOSSは、示されているライセンスに従えば、どのように使うのか?」などの法的な問題の理解も必要になっている。

時代は差別化が図れなくなったハードウエアの時代ではない。ソフトウエアが要の時代になっている。そしてそこには多くのOSSが当たり前に使われている。古い時代のソフトウエアエンジニアの時代は終わっている。

日本の某自治体、某役所では「OSS使用禁止の開発をお願いする」などという時代錯誤なものもあるようなのだが、明らかに的を外している、と言わざるを得ない。いや、古い時代のSEしかいないようなメーカーの人に騙されて、高い開発費を払わされていなければいいんですけど。

 


切符の自販機に見る「合理化・ハイテク化」は簡単にできない、という問題

現在、都内などに多く見る、デフォルトで「料金表示」になる切符の券売機は、料金のボタンが現れる前に、当然「目的地」が最初に出るべきだ。という議論があった。利用者の側からいえば、なぜ鉄道を使うのかというと、鉄道で移動したいからであって、料金は「行きたいところ」が指定された後、「いくらかかるか」がわかればいい。料金が最初に出る、というのは、やはり不便、と思う。

現代流のこの種のタッチパネルを使ったコンピュータシステムでは、「利用者の目的」が最初に問われ、その後、それに必要な料金が表示される、というユーザーインターフェイスが当たり前だ。

この「料金ボタンから先に表示される」という券売機のメニュー画面構造は、旧来のディスプレイ式ではない券売機の画面をなるべく変えないように、ということで、こういう形になっている。もしも、その旧来のユーザーインターフェイスを「変える」と、デメリットとして、以下のことが起きる。

  1. JRの駅にアナログで路線図を書いている人の職がなくなる。
  2. お年寄りなどが旧来とは違う使い勝手になるので、操作に戸惑う。
  3. 高額紙幣も扱えるとすると「緑の窓口」の職員も多くが失職する。窓口で買わなくても良くなる。

つまり、リストラなどが大幅に行われ、従来のJRの会社の体制を大幅に変更する必要が出てくるため、失職する人が多くなるだけでなく、会社としても多大なコストをかけての体制の大幅な変更が必要になる。だから、現在は「できない」のだ。

とは言うものの、時代は急激に変わってきた。なくなる職業も違う職業に鞍替えする時期でもあるし、古い体質の「鉄道事業」も変わる時期に来ているのは明らかだ。であれば、「画面上に路線図を最初に見せる。路線図をタッチすると最後に料金が出て来る」券売機は徐々にでも普及させていき、JRという会社の合理化によって、コストのかからない体質をさらに株主にアピールする必要がある。もしもそれが行われない場合は、JRという採算の合わない会社から株主が逃げて行くだけだろう。

一般的に、「ICT化」というのは「人減らし」のためにある。人減らしをして、これまでかかっていた人件費を大幅に低減するためにある。であれば、ICT化は経済の必然であるにせよ、「人減らし」は行われ、必要以上にコストがかかる現状を改善し、株主の利益を最大にするのは、資本主義経済としては当たり前である。結果として、現代の資本主義経済は人間という高コストの「従業員」を減らし、経済は全体として縮小せざるを得ない。

毎日でも目にする駅の「自動券売機」の向こう側に、ここまでの経済の動きが見えなければ、「ハイテク化」への批判は全て的外れなものとなる。

ICTとは、人がやっていたサービスを人件費のかからないキカイが行うことである。それを人類の幸せの追求にいかに使うか?それは、今、早急に考えて、実行しなければならないところに来たのだ。

それにつけても、時代の流れは速いが、人間の頭というのはなかなか切り替わりができないものだな、と思う。その切り替わりを時代にあわせて行える者だけが生き残る。それが経済の原理であって、資本の論理であって、資本主義というものだ。

 


公衆無線LANあれこれ

このところ、公衆無線LANのお世話になることがけっこうあるのだが、いろいろなところで様々なタイプのものにお目にかかる。一番多いのは、まず、アクセスポイントに接続して、任意のWebページをアクセスに行くなどすると、全く違うページに誘導され、そこにメールアドレスを入れる欄があるので、そこに自分のメールアドレスを書き込むと、そのメールアドレス宛てにメールが届き、そこに書いてあるURLにアクセスすると、公衆無線LANが使える、というタイプだ。

あるいは、最初LTE/3Gだけでつなげておき、メールをあるアドレスに送ると、アクセスコードを送ってくるので、そのアクセスコードをコピーし、LTE/3Gを切ってWi-Fiに接続して、なんでもいいからどこかのWebをアクセスすると、それがリダイレクトされてアクセスコードを入れるページが出てくるので、そこにアクセスコードを入れて、はじめて、公衆無線LANが使える、というものもある。

このタイプで一番問題になるのが、無線LANに接続する前の段階で、どうやってメールの送受信やWebページのアクセスをするか?ということだ。当然、インターネットに接続される前だから、スマホなどだと、無線LANを使うわけにはいかない。要するに、クルマのキーをクルマの中に置いてあるんだが、クルマには鍵がかかっている、という状態である。こういうときは、しょうがないので、一度無線LANの接続を切って、携帯キャリアのLTE/3Gなどの回線でインターネットに接続し、メールを送信・受信する。その受信メールで得た「アクセスコード」をコピーしてから、再度無線LANに接続し、公衆無線LANの申し込みページの当該欄にアクセスコードを入れて、無線LANをONにしてもらい、すぐに、LTE/3Gのキャリアの回線を切る、という面倒なことをしなければならない。ドトールコーヒーなどの「Wi2premium」なんかは、この方式だ。つまり、無料無線LANに接続するために、事前にLTE/3G回線が別に必要になる。

そのあたり、都営バスの無線Wi-Fiは良く出来ていて、最初の接続のときに、数十分だけ、なんの手続きもせずに、インターネットに接続してくれているので、そのあいだにメールの送信と受信で、アクセスを取得すると、その後も延長して無料のWi-Fiが使える。つまり、Wi-Fiだけしかインターネット接続ができないタブレットやPCでも、無料Wi-Fiの恩恵に預かれる。ただ、惜しむらくは、バスに乗っている時間というものそのものが案外短く、10分もすると、降車の時間になったりして、長時間乗ることがない、という。。。。

また、最近のスマートフォンは、Wi-Fiで以前接続したことがある無線LANアクセスポイントが出現すると、現在のLTE/3G回線の接続を勝手に切って、優先的にWi-Fiに接続してしまう。そのため、バス通りの近くのコーヒーショップでLTE/3Gでメールとかをしているとき、突然つながらなくなったりする。しょうないので、大事な通信のときにはあらかじめ無線LANは切っておく。

FREESPOTなどもPC一台での接続には大変に不便だ。おそらく、そういうことを想定していないのだろう。まず、PCを無線LANでFREESPOTのアクセスポイントに接続する。その後、メールを送信するわけだが、そのときには、メール送信ができるインターネット接続がないから、仕方なく自前のモバイルルータにつなぎ直してから、メールアドレスの送信ボタンを押す。でも、これだと、登録ができない、など、要するに全く使えない。

なにかと便利に使わせていただいている「公衆無線LAN(Wi-Fi)」だが、「使いこなす」には、けっこう高度な知識が必要だったりする。

しかし、都営バスのFreeWi-Fiはよくできていて、認証の最中だけインターネット接続がちゃんとある。他のWi2とかFREESPOTなんかは、正直なところ、見習って欲しい、と思うのだ。ただし、こちらは別の不都合がある。メールアドレスのgTLDが.comとか.jpでないと接続できない。ぼくは自分のアドレスに、「.pw」を使っているので、いつまでたっても認証のメールが来ない、ということになる。これは改善して欲しいところだ。


Raspberry-Piの使われ方

Yebisu/Tokyo

Yebisu/Tokyo

最近はどこでも「ラズパイ」とか「Raspberry-Pi」とかっていう、高性能の小型のCPUをARMにした裸のボードコンピュータが流行っている。かく言う私もIoTの専門家ですから、それぞれの世代ごとに数個持っていたりする。IoTの試作品開発向け、という感じだったのに、最近は、なぜかどんどん消費電力が上がり、CPUのスピードが速くなり、全然IoT向けじゃなくなってきた感じがある。5千円くらい、という手軽な値段もあって、どうやら、安価なパソコンとしてこれらのコンピュータを買っている人がけっこう多くなったんじゃないかと思うのだ。いや、それはそれで悪いとは思わないのだが、CPUがARMだし、OSはGUIは付いているものの、Linuxだし、と言うことで、いや、一部Windowsもあるよな、とか思いつつ、でも、そういうのって、なんかビンボ臭くないですかねぇ、とか思うのだが、いや、そういう使い方もあり、ということで、それはそれでいいんじゃないかと、とも思うわけですよ。

実際、Raspberry-Piやそれに類するボードコンピュータを組み込んでノート型のPCのようにして使えるキーボードとディスプレイとポインティングデバイスのついたものも売りに出されていて、これがなかなか綺麗なので、1つ買ってみようかなー、とか思ったりもする。そんなに高くないしね。

しかし、ノートPCとしてラズパイを使う、というのは、まぁ、その、なんだ、本流じゃないよなぁ、という思いもあるわけで。

 


現代のネットの仕組みと選挙

昨日土曜日日までの「選挙戦」の街頭演説の熱狂や、途切れることのない選挙カーのスピーカーの音は、投票日の日曜日の今日は朝から聞こえない。静かなものだ。このしばらくをふりかえれば、仕事であちこち都内を飛び回っていたものの、選挙演説には全く遭遇することはなかった。職場で仕事をしている人は、とてもじゃないが、選挙演説をじっくりと聞くなんていう、そんなヒマはない、という感じだったのではないだろうか?結局、今日の選挙当日になったり、あるいは、台風の襲来を予想しての事前投票を間際になって行った人が多いだろう。そういう人の「誰に投票するか」の情報の拠り所は、どうしても、現代であれば「ネット」にならざるを得ない。テレビは選挙の番組をしていない時間に当たれば、候補者の政見放送を見ることもできない。新聞はあるが、新聞をじっくり読む時間もないうえ、候補者が出揃った直後の新聞なんて、もう手元にない、なんてことも多いからだ。

しかも、今回の選挙は最初から物事が動くスピードが速く、週刊誌も日刊の新聞も状況に追いついて行くのがやっとで、週刊誌は完全にそのスピードに追いついていなかった、というのが、私が見ている限りの現実なんだね。結局、政党の離合集散や新党の出現と台頭、衰退などが短い時間に起こり、このスピードはネットでなければ追いつけなかった、ということだろうな。

今日の投開票日は朝から雨が強い。稀に見る大型台風が来るという。しかし、朝一番で行った投票所はかなりの人がいた。いつもと雰囲気が違う。また、一昨日から昨日まで、「事前投票所」が、この日の台風来襲を考えてか、長蛇の列。こういうのも、これまで見たことのない光景だった。

ところで、忙しい現代人が投票のための情報で頼りにしている「ネット」やネット上の「SNS」、検索エンジンは、実は「公平」ではない。Aさんが見ている検索結果の画面と、Bさんが見ている検索結果の画面は違う。また、Aさんが見ているSNSの画面とBさんが見ているSNSの画面も違う。あなたが良く見る「候補者」の画面も、実は他の人が見ているとは限らない。

インターネットのビジネスの多くは「広告」であって、それを見る側の人の「好み」などを、裏側で、その人の良く見るホームページなどの情報を元に分析して、データベース化している。そのデータベースを元に、一人ひとりに「違う情報」を見せている。これは広告のためのシステムなのだが、このシステムにより、たとえば、政治的にリベラルな考えを持っている人には、そういう候補者や政党の広告が出てくるし、政治的に保守的な考えを持っている人には、そういう候補者や政党の広告が出てくるようになっている。更に、手の込んだことに、そこに、ちょっとだけ閲覧者の持っている考えとは違う「広告」もスパイスのように入れる。こうやって、自分が見たいと思う情報を、閲覧者は手に入れ、それを見せる側はその情報にクリックさせることによって、広告費用を稼ぐ。そして閲覧者はそれらの情報を見て「世の中は自分の思う通りの方向に進んでいる」という快感を得ることにより、閲覧者をよりネットの情報に引きつけ、PCの前やスマホに見入る時間を増やす工夫をしている。

簡単に言えば、あなたがネットで見ている「社会の情勢」は、あなたの思いが反映されたものであって、他人も同じものを見ていると思ったら、大きな間違いなのだ。つまり、ネットで見える世界が全てだと思っているとしたら、大きな間違いであって、それはあなたの思いに最適化された、あなたしか見ていない世界なのである。

しかしながら、現在のこの時点ではこういったネットの仕組みは複雑すぎて、余り広くは認知されておらず、「テレビやラジオの延長のようなもの」と思っている方が多いだろう。当然、選挙管理委員会とか、役所ではそういうことは考えてもいないだろう。しかし、ネットの情報とはそうやってあなたのために「作られた(個人的に取捨選択された後の)」情報であって、見ているものが人それぞれに違うのだ。

ネットの技術は日進月歩で進化している。それはどうやったら広告会社が儲かるか、という原理によっている。しかも「パーソナライズ」されており、ネットにアクセスする全ての人が同じ情報を同じように見ているわけではない。

ネット社会の情報リテラシー。それはこういうことも理解しておくことでもあったりする。

 


ビジネスはスピード

日本ではこのところ、総選挙に伴って「政局」が毎日コロコロと変わる。場合によっては、数時間で全く状況が変わってしまう。ついさっき、駅のKIOSKで先週までは注目されていた某党の女性党首のインタビュー記事を目玉にした「週刊誌」のバナーが目に止まった。曰く「本気で政権を奪う」。が、先週の最初くらいには、この党は破竹の勢いでいたのだが、既に選挙まで2日になったこの時点で、この党は「勢いを失った」という大方の評価となってしまった。「週刊誌」だから、おそらく、先週のうちに今週の状況やその先の状況を考えて、次に出る号はこの記事が売れるだろう、と、目玉記事を考えておき、それを週間予定で出していく。しかし、そのスピードでは全く時代の流れに遅れている。そんな世の中になったんだなぁ、というのが、KIOSKの週刊誌バナーを見たときの最初の感想だった。

他にも、先週はあった大きなお金の動くビジネスの話が、今週になると完全に状況が変わってしまった、などというのは、最近はしょっちゅうだ。その度に、数時間で物事が動く、このスピードで仕事をしている人と、週間とか月間を単位として仕事をしている人の「差」が大きく開いていく。そういう場面を非常に多く見るようになった。

その点でも、電話は全くビジネスに使えなくなってきた。忙しく仕事をしている人ほど、電話してもその人が席にいないなんてのは当たり前。本人の携帯電話に電話しても、話し中とか電波が届かないとか。そういうことが多すぎるので、さっさと「相手が忙しくて電話が取れないときでも、こちらの意思が正確・確実にできるだけ早く届く:メール」とか、あるいは「ショートメッセージ」を使うことが非常に増えた。電話は効率が悪くなった。

たとえば、ビジネスの電話をして、そのことについて「今なら10分ほど時間があるのでいらっしゃいませんか?」という人であれば、ビジネスは先に進む可能性が高いが、「来週X曜日の午後X時に」となると、かなり先の話になるので、そのときにはもう状況が変わっていたりする。遅いのだ。それを聞いただけで「あ、こりゃだめだな」と思ってしまう。当たり前のことだが、ビジネスでは「先手必勝」であって、数秒の遅れが命取りになる。これはいい案件だと思ったら、今、連絡をとって、今、アポを用意して、いま、交渉に入る。このスピードがないといまやビジネスはできない、と言ってもいい。のんびりした時代ではないのだ。

韓国の大学教授をして韓国にいたとき、夜の飲み会でキャッシュカードを上着から抜き取られたことがあった。夜、家に戻ってからそれに気がついて、翌朝一番で銀行に身分証明書などを持って行ったら、ものの15分ほどですべての手続きが終了した。旧カードの使用停止、新カードの発行と認証。そして、銀行からの帰り際にSMSが自分のスマートフォンに飛んできて「旧カードは使用停止になりました」などのメッセージが来た。このスピードはすごい、と思った。こういう場合、日本の銀行では、慎重にも慎重に手続きがあり、キャッシュカードの再発行は1週間くらいかかることが普通だ。

 

KRACK(無線LANの乗っ取りをされるかもしれない攻撃)へのエンドユーザーでの対処

日本でも、10月16日くらいから騒がれはじめた、無線LANを乗っ取られるかもしれない問題。この問題へのユーザーの対処は以下のようにする。

  1. WPA2はそのまま使い続ける。
  2. OSなどのアップデートが数週間のうちに来るので、アップデートしておく。
  3. なるべく電波が外部に届きにくい5GHzの無線LANを使う。

基本的に、WPA2暗号化は、本日現在で一番強固なセキュリティであることに変わりはないので、まずそれを使うこと。WEPなどでは、やはり弱い。そして、メーカーなどが出すOSやハードウエアのセキュリティ・パッチを待つ。また5GHzの無線LANを使うことにより、電波が届きにくくなり、部屋の外などへの無線電波の漏洩を防ぐ、などは効果的だ。

 


Linuxで安全・安心。その理由

最近、ぼくはWindowsを使う時間が減ってきた。もともとApple使いではないので、MacOSを使っているわけでもない。なにしろAppleものは機能に比べて値段がバカ高い。とてもじゃないが、そこまでの金持ちでは自分はない。今使っているのは、無料で手に入るOSであるUbuntu/Linuxだ。これのデスクトップ版をPCにインストールして使っている。OSは無料で、このサイトから手に入る。最初から日本語の設定ができている日本語版だ。Windows関係のサイトでは毎月のアップデートで「動かなくなった」などの報告が多数上がり、Windowsを使っている人たちに恐怖を与えている。なにせいまどきPCは「普通の道具」である。この道具が動かなくなっては、仕事ができない。それでもついこの前までWindows上でしか動かないソフトウエアを使っていたため、どうしてもWindowsでないとまずい場面があったから、最近はUbuntu/Linuxの入ったSSDと、Windowsの入ったSSDを取っ替えひっかえして使っていた。しかし、ここ数ヶ月、Ubuntu/LinuxのSSDがPCに入れたままになっている。ちょっと詳しい人は、Linuxの上に「仮想PC」を作って、その上にWindowsを載せている人もいる。自分の場合は、単純にSSDの物理的取り換えだ。

【Ubuntu/LinuxにはOfficeも無料でついてくる】
まず、PCといえばOfficeソフト(Officeスイート)の存在が大きい。Windowsであれば、表計算の「Excel」、ワードプロセッサの「Word」、それにプレゼンテーションの時に使う「PowerPoint」。LinuxのOfficeで最近良く使われるのは「LibreOffice」で、これはWindows版も無料で手に入る。しかし、Ubuntu/LinuxではOSのインストール時におまけでついてくる。しかもこのLibreOfficeはMicrosoft社のOfficeと使い方は少々違うものの、ファイル形式がMicrosoftの、.xlsx/.docx/pptxなども読んで、かつ書くことができる。できないのは、VBAくらいのもので、普通の使用であれば問題は全くない。しかも「無料」である。

【Windowsのソフトがそのまま動く】
また、「どうしてもWindowsのソフトを使っているので、それを使いたい」という場合も、これまた無料のソフトである「wine」を入れておけば、ちゃんと動く。私も、そういうやり方でいくつかのWindows用の便利なフリーソフトを使っている。当然ながら、Microsoft社のOfficeも動く。玉に瑕は、インストールと利用がまだ少々面倒なこと。これも、ネットにある豊富な情報でなんとかなる。

【ウィルス感染とは無縁】
WindowsやMacOSなどのメジャーなOSを狙った「ウィルス」「スパイウエア」は非常に多いが、それは世の中に広まっているから、という理由が大きい。Ubnutu/Linuxはまだ世の中にそれほど広まっていないから、ウィルスやスパイウエアはそんなにない。つまり感染しにくい。しかし、そうは言っても、心配の向きはあるだろう。でも、ここでも無料のウィルス対策ソフトウエアがある。これは、ネットで「Linux ウィルス対策」として検索すると、かなり多くの情報が手に入る。無料の対策ソフトもたくさんあるのがわかる。もっとも、これからのウィルスやスパイウエア対策はPCに対策ソフトを入れる、という方式ではなく、「UTM」というハードウエアを家庭や会社のインターネット接続口に入れておく、という対策を取ることが多くなるだろう。なぜかというと、家庭や会社ではPCのほか、各種OSのスマートフォン、タブレット、IoT家電と言われる洗濯機やエアコンなども接続されるから、これ全部にウィルス対策ソフトを入れることは不可能だからだ。つまり、これからは、ウィルス対策ソフトそのものが「時代遅れ」になる可能性が高いのだ。

【動画編集ソフトなどもLinux】
そして、私はよく動画の編集をするので、Windows上で動く優れた動画ソフトを使うために、Windowsを起動することが多かったのだが、探して見ると、なんと無料でかなり高機能な動画編集ソフトウエアも多く出ていることがわかった。これで、Windowsをわざわ使う意味がほとんどなくなった。結果として、我が家のPCはどんどんLinuxに変わってきて、Windowsはほとんど起動することはなくなった。

【さらに高機能を望むのであれば】
Ubuntu/Linuxには、さらに高機能の「有料ソフト」もある。たとえば、日本語かな漢字変換には、日本語処理の老舗とも言われているジャストシステムの「ATOK for Linux」もある。

【AdbeもLinuxはじめました
たとえば、出版とかWebページデザインとか写真とかの仕事で、adbe社のシステムをどうしても使う必要があり、それはWindowsでしか動かないと思っていると、そうではない。adbeも本格的に adbe ccなどをLinuxで動くものにし始めている。

【それでもどうしてもWindowsがー、がががが】
世界中のシステムがLinux対応になりつつあって、それでも、過去に使った開発の終わった便利なソフトをどうしても、Linuxで使いたい、という場合は、先ほどご紹介した「wine」を使うか、Linux上に仮想化したPCを置き、そこにWindowsをインストールする、という手もある。現在その設定は技術者でないと面倒だが、これも早晩解決する。簡単になるように改良が始まっているのだ。

【知ったかぶりのITオジサンに気をつけよう】
IT機器に詳しい、とか言われているオジサン。某巨大企業に勤めていて、カフェでも居酒屋でも昔の自慢話ばかり。で、おれはITには強いんだぁ、などとくだを巻くおじさんに限って、日進月歩のITの世界はご存じない。実際に毎日触っていても、古いものばかり触っていては意味がないのは当たり前。で、こういうオジサンに「Linuxってどうなんですかねぇ?」などと聞いてはいけない。そのオジサンは、数年前にちょっとだけLinuxに触った知識を元に「そんなの使えませんよ。手を出さないほうがいいです」とか言う。が、その数年のあいだに、実は劇的な進歩があるので、そのオジサンの知識は使えないのだ。こういうオジサンにIT関連の物事を聞く必要は、あまりない、と言っていい。Linux普及の一番の阻害要因はこういった「知ったかぶり退職ITオジサン」なのかもしれない、などと最近は思うのだが。

ということで、このBLOGもUbuntu/LinuxのデスクトップOSで書いている。Linuxで物理的なハードウエア以外は、なにもかも「完全無料」でなんとかなってしまう、という時代がやってきた。OSも完全無料、というのは、実は大きなメリットがある。WindowsのようにWindowsUpdateなどで全く動かなくなってしまったPCも、Ubuntuであれば、生き返らせることが無料で、かつ容易だ、ということ。そして、元が無料だから、OSがクラッシュしたりおかしくなっても、再インストールには躊躇がない、ということだ。とは言うものの、私の場合は、OSがクラッシュしたりしたことは今までLinuxでは全くない。

既に、欧州や日本の一部では、地方自治体の役所などでLinuxを使う流れも出てきている。Windowsに縛られる時代ではない時代が目の前にひらけてきている。

 


ハッカソンでの知財の扱い

 

このところ、あちこちで行われている「IoT関係ハッカソン(アイデアソン)」は、様々なものが出たり消えたり、なかなか盛況だ。よく見てみると、入賞者などはハッカソンごとにだいたい固定化してきているのがわかる。なんでもありの面白さ、みたいなのは、だんだん少なくなってきている。聞いたところによれば「内輪のサークルのイベント」化してきているものもある、と聞いている。

実際、そういうイベントに出ている「アイデアを実現したもの」には、私が見るところでは、あまり魅力的なものが見つからない。みなどこかで見たような「遠隔地の親の見守り装置」みたいなものがあまりに多く、どちらかというとそういう狭い範囲内での少しの差を競っている程度の「アイデア」ばかりがあるように見える。ある意味、停滞しているのだろう。

加えて、多くのハッカソンは、自治体などの公共機関が行うものも含めて、その成果物の「知財(特許、工業所有権など)」が、どのように扱われるのか?などが、ちゃんと表にしっかり書かれているものは非常に少ない。つまり、ハッカソンに出て優勝したら(あるいは入賞したら)、その成果物と同じものを自分が作ったら、どうなるのか?みたいなことがまるでわからない、という、そういうイベントが非常に多いのだ。

さらに、IoT関係のハッカソンではごく短い時間での開発競争になるという面があり、出来上がったものは、セキュリティなどは一切考えられていないものがどうしても多くなるのは仕方なく、結局、そのままでは製品にも事業にもならない。さらに膨大な手間をかけて、セキュリティやクラウドの仕組みを構築したり、アクセスが集中したときのラッシュ時の動作検証なども、製品化には必要になる。アイデアだけで勝負、というのは、実は勝負にもなっていない。

これでは、まじめに世の中に商品として出そうとしているIoT機器というのは、怖くて怖くて、ハッカソンには出せない。

あるいは、あらかじめ、特許出願したうえ、こういうハッカソンに出る、というやり方が本当は良いのかもしれない。

 


IoTでのセキュリティがなぜ大きな問題になるのか?

Roppongi Hills / Minato-ku, Tokyo

IoTは「Internet of Things」の略であることは、よくご存知だろう。「インターネット」を使わないと、「IoT」ではない。つまり、測定する結果をどこかに送るにしろ、それを受けるにしろ、あるいは、制御情報を送るにしろ、それを受けるにしろ「インターネット」をデータが通らないと「IoT」とは言わない。つまり、「IoT機器」は全て通信にインターネットを使うことが大前提だ。なぜインターネットを使うかというと、遠隔地でデータのやりとりをするからだ。それにインターネットを使うことにより「専用のデータ線」を使うよりも思い切り低いコストで遠隔地どうしで通信ができるのだ。

また、最近のIoT機器で使われている人工知能システムなど、小さな筐体に入りきらない高性能なソフトウエアや、膨大なデータは、クラウドシステムとのデータのやり取りをインターネット経由で行うことは当たり前になった。であれば、インターネットを使わないIoT機器は全く考えられなくなった、と言っていい。

しかし、インターネットを使う、ということは、インターネットという大海を通して、データがやりとりされるわけで、そうなると、大海にいるのは、サメであったりクジラであったり、つまり、ハッカーなどが常にやってくることを考えて、IoT機器を開発しなくてはならない、ということだ。「IoT機器にはハッカー対策は不可欠」ということは、つまりそういうことだ。