カカオトークの記者会見の世界への波紋

広安里ビーチ

広安里ビーチ

韓国が揺れている。カカオトークが揺れている。BANDが揺れている。韓国発のIT産業が揺れている。

サイバー空間での名誉毀損事件が増えているため、韓国では検察が特に韓国人にユーザーの多いカカオトーク(事業者はダウムカカオ)などを監視している、という発表を行い、そのため、監視を懸念され、カカオトークのユーザーが激減。10月13日に、カカオトーク側は(1)「これまで検察にはカカオトークでやりとりされるメッセージを提供してきたこと」、(2)「今後は検察から要求があっても、カカオトークでやりとりされるメッセージは提供しないこと」を、発表し、それに対して、特に(2)については、韓国の国内法の違反の疑いがある、ということで、韓国ではこちらが大きな問題になっている。カカオトークとしては、ユーザーの激減は自社の存在に関わる重要な問題であり、この発表はぎりぎりのところでされたもの、と見るのが妥当ではあろう。しかし、カカオトークがサービスとして潰れてしまったとしても、その運営主体の会社がなくなったとしても、韓国の国民に(1)の発表、というか「暴露」による疑念は消えないことだろう。

韓国の検察の当局としては「メッセージを提供されてもリアルタイムの検索の能力はない」など、その実効を否定するコメントを流さざるをえなかったようだが、時はすでに遅し。韓国民がテレビのニュースなどで、自分のメッセージが検閲されていた、という事実がわかってしまった以上、これから新たに作られるサービスも、また過去からずっとあるサービスも、韓国でサーバーを管理しているサービスはみんな信用できない、ということを、韓国の多くの人だけでなく、外国にいる韓国人、そして外国人も考えざるを得なくなってしまった。つまり、韓国企業であるNAVERが日本を中心に展開して多くのユーザーを持つLINEなどにも影響を与える恐れがある、ということでもある。カカオトークなどのサービスを退会しないとしても、メッセージが常に監視されている、ということを意識したメッセージのやりとりがされるようになる、ということは、検察の当局にとっては大問題である。なにせ「こっそり見ていた」ものが公になってしまったのだから、今後は検閲にひっかかることがありそうなメッセージそのものをやりとりしない、という対策も取られてしまうだろうからだ。つまり、今回のカカオトークの暴露記者会見では、(2)よりも(1)のほうが、今後の影響が大きいことだろう、ということだ。

当然だが、これからカカオトークが韓国以外の外国に市場を広げようとしていた矢先の出来事だけに、世界がこのニュースに注目している。多くのユーザーがカカオトーク離れを始めるのみならず、外国でもカカオトークの展開が非常に困難になってしまった。それだけではなく、韓国発の他のサービスももちろん外国でも影響を受けることだろう。しかも、それだけではなく、韓国発のネットビジネス全般が疑いの目で見られるようになり、世界展開への大きな足かせができてしまった、というのは、産業構造でハードウエアからソフトウエア・サービスへの転換を行う、という大きな転換を目指すと宣言した韓国産業界にとっても、今後懸念すべき大きな問題ができてしまった、ということでもある。

「その一言」が大きな問題となる。いや、なっている、というのが現状だろう。これから、この「暴露」の影響はさらにおおきくなるだろう。

私はいま、日本人として仕事で韓国にいるが、韓国のIT産業の今後を、同じ業界の人間として憂えている。

 


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