25年くらい前の「コンピュータ屋」は、今で言うIoTの技術者だったから、ハードウエアもソフトウエアもデータベースもわかってて当たり前だった。

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ぼくはあまり昔話って好きじゃない。前は良く言ってたけど、この10年くらいは目の前の仕事が忙しくて、昔話どころじゃなくなった。で、その25年くらい前にはコンピュータにもいろいろなCPU部分のハードウエアがあって、特に日本のその業界では「NECのPC98シリーズ」が一番多く使われていた。他に、IBM-PCとか、Apple-IIとかってあったけれども、日本じゃなにかというと「PC98」が当たり前だった。事務処理にはまだコンピュータは沢山使われていなくて、むしろ工場の制御とかダムなんかのプラント制御とかに、PC98はたくさん使われた。だから、今この記事を読むと、昔の話がぼくの心の中でよみがえる。大手のあの企業の工場も、あの企業の工場も、みんなぼくらがやった仕事だ、って思い出す。守秘義務があるから、どことは言えないけど、あんなことやこんなことをやった。ロボットもちゃんとインテリジェントなものが動いていたしね。

つまりさ、その頃のぼくらってのは、アナログ電子回路、ハードウエア、ソフトウエア、みんなできて当たり前だった。その上で、お客様のところに行って、要件を聞き出して、どんなハードを作ったり組み合わせたりして、どういうソフトウエアを作って入れればいいか、なんて考えた。お客様とのコミュニケーションがちゃんとできないと、この仕事もできなかった、と言っていい。つまり、ソフトウエアだけの技術者、なんて使い物にならなかった。だから、コンピュータ技術者のほとんどは、今で言うところの「IoTの技術者」でなければならなかった。

インターネット以前の時代、僕たちもPC98を使って、東証一部上場の企業の工場のシステムなんか、たくさん作ったよ。重ねて言うけど、守秘義務があるから、どことは言えないけどさ。で、今も動いてるはず。なぜかというと、当時はPC98の値段も高かったけど、それを大量に工場のラインで使うということもできた「日本企業がお金持ちの時代」だったんだね。今は全然違うけどね。実は当時のコンピュータでは、PC98を使うほうが安かったんだよ。あの時代のIntelとかで作っていた産業用のボードコンピュータのほうが遥かに値段が高かった。シングルタスクのOSも多かったし、マイクロプロセッサ用のマルチタスクは出始めで、ぼくらは結構早い時期から、iRMX(intel Realtime Mutitasking eXecution)とかも使ったね。って言っても知ってる人は少ないだろうけど。もっとも、仕事によっては、自前でマルチタスクのモニタを作ったりもした。コンテキストスイッチングの仕組みを考え、スケジューラも自分で設計した。ところで、PC98はその当時は1枚で数十万円から数百万円する産業用のボードコンピューターよりも安かった。いや、外資系のすごくお金が余っているところではそういうコンピュータを使ったよ。OSはだいたいがMS-DOSとかのマルチタスク機能をもともと持っていないOSだったから、予期しないタスクとかが裏で動いてシステムが知らないうちに重くなる、ってこともなかった。だから、使いやすかったんですね。いや、プログラムが組みやすかった、というほうがいいかね?マルチタスクのOSは小型コンピュータには珍しかったし、使いにくかった。でも、なんとかして使ったこともあった。

CPUの性能が低いぶん、OSもプリミティブで、オブジェクト指向も一般的ではなかったしね。その当時では最先端の、光ファイバを使った光LANのシステムもぼくらが作って最初に某プラントで使って実用化した。通信用のCoProcessorに、高速シリアルの入出力を持つ、PROMでプログラムを焼くi8751を使った。それが使えるようにした、PC98用のインターフェースボードも作った。TCP/IPもなかった時代、自分たちがプロトコルを作って決め、プロトコルスタックを自分たちで作って、そのスタック間のインターフェイスもぼくらが決めた。これで光でLANが動き始めて、実際の某現場で動きはじめたときは感激だったねぇ。

要するに、当時(1980年代くらいまで)は、そういう時代で、PC98を工場なんかの制御に使う、ってのは、実は一番安くて一番安心な選択だったんですね。とは言うものの、パソコンもWindowsとかからしか知らない今時のスタバでiPhoneとMacBookAirなんかで記事書いてるライターじゃ、この辺りのことは話をしてもわかんないだろうけど。だから、こんな記事で「驚き」になっちゃうんだろうね。

だから、昔が良かった、とは思わないけど、ITに関わる技術者は、昔ほど能力が高くなくても、なんとか使える時代になった、ってことだな。

 


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