IoTというのは「IT業界」と「それ以外の業界」がつながっていくよ、ということを表現したものなので、ある意味、技術そのものとはちょっと外れたところに本質がある

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IoTというと、すぐに「センサーが」とか言うわけだが、いまどきセンサーそのものも内部に小さなコンピュータが入っているものもあって、非常に安価。人感センサーも温度センサーも既にだいぶ前から秋葉原のアマチュアの電子工作用にだって売ってるわけですよ。技術的にはなんら新しいことはなくて、その実現コストが非常に安くなった、ってことがあるかとは思うんだけど、技術という側面から見ると、なんら新しいものはない、と言い切っていいんじゃないかと思うのですね。実は今騒がれはじめた「IoT」の本質というのは、技術にはないんですよ。

そういうものができる、ってのは、ほとんどの人は前から知ってるわけ。そうじゃなくてさ「そういう技術がIT以外の業界でも普通に使えるようになったね」ってことが大事なんだよ。みんなPCとかスマートフォンとか使うようになって、ITに親しみができたじゃない。その上で、ハードウエアがつながるといろいろできるよな、で、それはけっこう安い値段でできるよな、っていうところに重点があるわけですよ。古くからのITとかコンピュータ、組み込みの技術者から見れば「できて当たり前」の話ばかりで、技術の話だけだと、退屈しちゃうような話なんだな。

そうじゃなくて、ハードウエアとインターネットを使った通信との連携が安価で手軽になったコンピュータを介して、こんなに安く、簡単にできるようになったから、世の中が変わりそうだね、って話なんですね。「尖った技術」がそこにあるわけじゃないんですよ。

「尖った技術」がちやほやされた時代ってのは、コスト、言い換えればカネが潤沢だった時代なんだよ。そういう時代には、いくらお金をかけてもいいから、すげーものを作れ、他社をぶっちぎれ、っていう競争だったわけ。でも、今はスーパーコンピュータでさえコストを考えないとやっていけない時代になったんだね。だから、IoTってのには新しい尖った技術は無いの。

たとえば、ある仕事はいまだに人間がかなり介在していて、数年でン億円かかってその仕事をしていた。でも、IoTの技術を使って、人間をその工程からなくして自動化すると、ン億円かかっていたものが、数千万円以下で済みます、すごいてしょ?だから導入しましょう、ってのが、今はできることがIT業界以外の人でもわかってきて、それを提案してくれる人をみんな待ってるわけですよ。それが、IoTの本質ですよ。

お金というのは、ITの技術者や研究者でもわかるし、一般の人はお金以外では物事をとらえられないことも多いわけね。だから、お金を相互のコミュニケーションのプロトコルにしておかないと、通じないのですよ。で、それが一般的になって、形になったのが「IoT」なんだよ。だから、「IoTでこういうことができます。安くできます」あるいは「もっと儲かります」という「提案」が「具体的にお金に換算してできること」が非常に重要なんですよ。

今生きてる日本の高齢の技術者は日本の経済がいい時期にいい青春時代を過ごしていて、その時代はとても経済的に豊かで、技術者や研究者のほとんどはお金のことをあまり気にしないで「最先端」を追うことができた。でも、今はそういう時代じゃないからね。ごく一部を除いてはね。それが今という「新時代」なんだね。だから、今どきの退職技術者のおじいちゃんたちはそういうことわからないし、お金の計算ができないし、それが自分の仕事だとも思ってないから、今日現在のIoTってなんなのか?ってことがよくわからない。「それ、俺たちがやってきたことだよ」だけで、話が終わっちゃう。なぜ今、IoTが騒がれているのか?ってところに疑問を持てば、問題意識ができて、今、なぜ?ってところに気がつくとおもうんだが、多くの古参の技術者はそういう新しい時代の感覚がまるでわからないのね。だから、目の前にあっても、IoTってものがなんだか、まるでわからない。結果として、先輩として正しいアドバイスもできないんだよ。

IoTというのを語るには、「コスト」の話は外せない。それが身についていないのであれば、もう「旧時代の遺物」なんだよ。

 


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