サイバー戦争が始まった(16) クラウド攻撃

※本記事はフィクションです。事実ではありません。

インターネットなどのオープンなネットワークを使うのが当たり前になった今日では、軍もこれらのネットワークを使う。そのため、攻撃の相手の武器や背後の兵站などに使われているコンピュータやネットワークに大きな支障を与え、軍の機能を麻痺させる「サイバー攻撃」が非常に有効になる。サイバー戦争について、ほとんど知識のない「IT音痴」では、今日の戦争を戦えない、と言っても良いだろう。サイバー戦争はどうあがいても現代の戦争の要にならざるを得ない。

「ところで、どこを狙うんだ?」

C国のサイバー戦担当官のBに、時期攻撃担当のA将校が話を降った。Bは答えた。

「宣戦布告をすると、相手にこちらの手を読まれるので、あくまでテロ戦、ゲリラ戦でいきます」
「なるほど。で、どこを狙うのか?だが。。。」

質問が終わらないうちに、B担当官が答えた。

「2013年の日本の総務省発表の資料では、日本国内には、インターネット接続の要となる電話局が、NTT東日本だけで約1400あります。このうち、日本国内の主要クラウド事業者につながっている電話局は約200。この200の電話局を狙います」
「なるほど、その接続されているクラウドデータセンターを狙うわけか」
「いえ、違います」

B担当官は言下に否定した。そして続けた。

「電話局とか、クラウドデータセンターは厳重な警備がされていることが普通で、ここをテロなどで破壊するのは至難の技です。そこで。。。。」
「そこで、どうするんだ?」
「電話局とデータセンターを結ぶ、地中などに埋められた基幹の大容量回線、またはデータセンターに電源を供給している電力線を狙います」
「どうやって狙うんだ?」
「既にNTT地域各社とその工事業者に我が国のスパイが入っていますので、そこから、地中のケーブルの埋設位置を特定できます。そのうち、一番手薄なところを狙って、電気工事業者などを装い、土木機械で穴を掘って大容量光ケーブルを誤って切断したことにします。偽装工事テロですね。時間は5分もあれば十分でしょう。既に電気工事・通信工事業者にはかなり以前から外国人を多く使う現場が多く、こちらのスパイもかなり多くいて、いつでも連絡がつく体制です。実行は号令一下で簡単にできます」「これで、日本の自衛隊が使っている回線や日本の友軍の米軍なども一切インターネットが使えない空白があちこちにでき、全体の機能麻痺が起きる。表計算やワープロなどのソフトウエアや、肝心のオペレーティングシステムも今はほとんどクラウドで管理されて動いており、データセンターとの接続なくしてはパソコンやスマートフォンも起動もできません。おそらく、日本中が大混乱になるでしょう」

まさに、立板に水。するするとB担当官の口から、日本の攻撃計画が語られた。

そして、話題は「戦後」に移った。A将校が聞いた。

「そうして我が国の軍が日本全土を制圧する。日本政府は我々の監視下に置かれる。その後の復旧はどうする?」

B担当官が答える。

「これまでの戦争ではお金がかかりすぎました。しかし、今回のサイバー戦そのものはお金がかからない。勝利した後は、その回線を復旧させるだけで、社会システムはすべて復活する。攻撃にかかる費用は、どんなに多く見積もっても、従来の核攻撃の数百分の1。そして、復興もそのくらいのお金で、ほとんど1日でできるでしょう。どこを直せば復旧するか、は、攻撃した私達が一番知っているわけですから」

A将校はうなった。そして断を下した。

「それで行こう。実行はX月X日の、日本の現地時間で午前4時だ。朝、日本国民が起きる頃には勝敗は決まっているだろう」

満場の拍手で、作戦会議は終わった。

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