「Amazonいじめ」が始まる

米国大統領トランプ氏が「Amazonへの課税強化を行う」とツィートした(日本時間2018/03/29)。その前に、G20(主要国会議)で話合われた議題の1つが「多国籍企業対策」となっていて、ある筋からの話では明らかに「Amazon対策」である、ということが言われている。

第二次世界大戦の1940年代の米国の大統領にして、米国切っての知性と言われたルーズベルト大統領は「今までは、王政専制から国家専制の時代になったが、これからは企業専制の時代になる可能性がある。国家として規制の強化などをしなければならない」というようなことを言っていた、とのことだ。実際、米国ではいま「コーポラティズム」が大きな問題となっており、「企業とはなんなのか?」という疑問の声が大きくなっている。

実際、Amazonに限らず、タックスヘイブン(Tax Heaven – 税金の天国)を使った「税金逃れ」は、当然のこととして行なわれており、現代ではケイマン諸島などが名前にあがることが多い。

米国自身でも「デラウエア州」というタックスヘイブンがかなり前からあって、そこでは企業は各種の税を払わなくてよかった。そこはもともと、デュポン社のホームグラウンドで、小さな州である。その政策も、デュポン社優遇のためにできたので、タックスヘイブンができていた、ということだ。そのため、20数年前に米国で買い物をして、日本にモノを送ってもらう、などのことをしたときは、「シッピング(出荷)はどこからにしますか?デラウエアからにすると、関税なしになりますよ」などと勧められたことも、何度かあった。米国企業は大から小まで、税金対策のために、ペーパーカンパニーの本社をデラウエアに作ったものだった。

いま、国を超えた経済規模を持つ、巨大な多国籍企業が世界の動きに大きな影響を与えている。その筆頭がAmazonである。そのAmazonは、タックスヘイブンを存分に使い、最低限の税金しか払わない。膨大な利益は、常に事業拡大のための再投資に向けられ、株価は高いものの、株主へのリターンはない。結果として、このままAmazonが成長を続ければ、「投資-株主へのリターン-株主の再投資」という「資本家を中心とした世界」、資本主義のサイクルの破壊が進み、資本主義自身が危うくなる可能性も出てきた。当然、各国の政府の通貨などにもこれは大きな影響を与える。たとえば、Amazonがあるとき仮想通貨のみでの取引をする、ということになれば、明らかに各国の政府の税収は無視される。ところによっては破算する政府も出てくることだろう。しかも、Amazonは既に小さな国家など吹き飛ばすほどのお金=信用を持っている。経済基盤は国籍を超えて存在し、つぶしようがない。

当然のこととして、Amazonは好むと好まざるとにかかわらず、国の政府とは敵対関係にならざるを得ない。究極の資本主義とは、すなわち資本主義のゴールだ。そこに大クライシスが待っていても、私たちはそれと無関係に生きているということはない。Amazonは資本主義に一番忠実な組織であるがゆえに、極端に短い時間に資本主義のゴールが見えているところまで来た。人々はそれに恐怖しているのだ。

Amazonの成長を止め、資本主義の成長を止める、という「対症療法」しか、資本主義のゴールまでの道を伸延する手は、今のところない。ゆえに、Amazonはいじめられる。

 


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