不可視で巨大な「越境者」

現在、ほとんど全てのIT機器やインフラシステムは、ネットワークの接続機器であるハブなどに至るまでインターネットに接続されており、バグの修正などを目的としてインターネットを経由してソフトウエアの更新を行うシステムに移行している。IT機器の裏側では、他国の業者と接続され、見えないところで、他国のサポートを受けているのが「当たり前」になっている。これはスマートフォンのような私達が普段から手にする端末機器だけではなく、その裏側で動く膨大なインフラシステムもそうなっている。そのため、国境を超えたサポートができるだけでなく、国境を超えた悪意もまたやってくることもある。国境を超えた間違いやバグも来るのだ。今回のソフトバンクの障害は、要するにそういうことだった。エリクソンという海の向こうの国の会社の技術者の「間違い」が日本のインフラを止めたのだ。

だからといって、この国をまたいだ相互依存のサポートシステムや、そのサポートシステムの基盤であるインターネットを止めれば、当然、あちこちでソフトバンクの障害と同じことが起きるのだ。交通システムから電気・ガスのインフラまで、それが副次的な影響を受けて止まる、ということだって考えられる。「止められない」のだ。それが現代のITというものだ。

現代のITの技術者というのは、ITシステムを使う限りにおいて、知らないうちに国境を超えてサポートし、国境を超えたサポートを受けており、それはとりもなおさず、地球規模の巨大ネットワーク・インターネットがそれを支えている。国境でシステムが切れているわけではない。この「止められない巨大な越境者」は目に見えず、大きな影響を(特に良い影響を)私達の普段の生活に与えているのを忘れてはいけない。

ITにもお金にも、既に国境はなくなった。私達がそう望んだから、そうなったのだ。インターネットは、ブラウザで他国の情報を見聞きしたり、国際間でメールがやり取りできる、というのは僅かな「見える部分」にしか過ぎない。見えないところで膨大な国際システムが動いており、その上で私達はその恩恵を受けている、というだけだ。

 

 


 

 

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