台湾でジャズ

台湾、特にその中心都市である台北には、ジャズを生で聞かせるクラブがいくつかある。その「台湾ジャズ」の中心にいるのが、Mike Tsengこと「曾增譯」氏だ。彼は台湾の大学でジャズ・ピアノの教授であり、地元では「老師」とさえ呼ばれている、台湾一のジャズ・ピアニストだが、弱冠41歳の「若手」でもある。

大学で彼の講義を受けた、ジャズピアノプレイヤーを目指す生徒は、彼の年齢よりも高い人達を含め、数知れない。東日本大震災当時、日本での台湾の政府の外交部(外務省)にいて、日本に赴任されていた「高官」の方も、Mikeさんの「教え子」である、というのには驚いた。彼は外交官試験に受かって外交部に入る前は、高校教師をしつつジャズピアノをしていたのだ。「定年後はピアノに戻りたい」と言っていて、実際にそうしている。私は当時、日本で「台湾新聞」をやっていたので、取材先として最初は知り合い、今でもLINEの友人である。彼は日本にいるとき、「ピアノが弾ける会場はないか?」と言われていたので、私の古い付き合いである恵比寿アートカフェ・フレンズをご紹介したことがある。

Mikeさんと、5月9日の夜に、台北のライブハウスでお会いし、彼のピアノを聞いた。ピアノトリオだが、彼のピアノは日本で言えば佐藤允彦(さとうまさひこ)さんのピアノを彷彿とさせる。知的でしっかりした音楽理論を背景に持っていながら、硬軟のあらゆる音を繰る。難しいフレーズも、だから安心感のある音になる。そんなピアノだった。まさに、若さゆえの鋭さと、熟練した職人の技術が一つになった、素晴らしい音を聞かせてもらった。

台北/台湾の「ジャズ市場」は小さい。だから、台北でも主だったジャズのライブハウスは少ない。5件くらいだろうか?しかし、そこで聞くジャズは、世界に比しても、非常に高いところにいる、まっすぐと上に伸びている、気持ちの良い「ジャズ」であった。

Mikeと引き合わせてくれた、Luuさん、台北駐在の島さんにも、感謝している。



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