「シリコンバレー」は世界に分散を始めた

Stanford Cooper St.

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シリコンバレーの最盛期でも、上場を果たし大金持ちになった、という会社は1000社のうち3社。シリコンバレーに行けば「必ず」成功するとは限らない。むしろ失敗のほうが多い。それが米国という「投資でお金が回っている社会」なんだね。それでいいんです。そういう社会だから。

日本のサラリーマン社会では「なにかの流れに乗ると、大きな失敗をしない限り成功する」と思われている。しかし、米国の社会はじめ、世界はそうではなく「成功というのは運(であって、保証されているものではない)」なんだな。

「シリコンバレー」という単語に、いまだに「成功幻想」を持っている、という日本人の多くの人の感性は世界では通用しない。そんなに甘くない、ってことです。

ぼくは仕事で最盛期のシリコンバレーにさんざん行ったけれども、その文化の違いは身体に刻み込んできた。だから、常に変化するあの場所でなにが起きているかの本質は少々はわかっているつもり。であれば、現在はこうなっているな、というのは、遠くから見ていても、大方わかる。情報も来るしね。

先日「サイバーセキュリティの専門家」「シリコンバレーで成功した」って言う触れ込みの人物が、日本の政府の中に入り込んでなんかやらかした、というのでクビになったことがあったよね。日本から見て「シリコンバレーで」というのは、なんか「天国に行っていい思いをして帰ってきた」みたいに感じるんだろうが、全く違う。まぁ、その日本人の、シリコンバレーの現実を知らない、というのを利用して日本での栄達をしようとして、失敗したんでしょうね。

ところで、シリコンバレー、ってのは「俗称」でね。「ナニワの地」くらいな感じですよ。実際の行政区画として「シリコンバレー」があるわけじゃない。先日も「シリコンバレーが云々」という話をする人がいたので、「で、シリコンバレーのどこ?」って聞いたら、答えられない。要するに権威付けのキーワードとして「シリコンバレー」を使っていて、それ以上の知識はないんだね。行ったことがないからだね。そこで「あぁ、そう」で話は終わっちゃう。他の話も信用できないからね。

実際のところ、「シリコンバレー」の単語は独り歩きしているので「XXのシリコンバレー」みたいな言い方がされることがけっこうある。ITはインターネット必須だから、世界のどこでなんでもできるので「地域性」はあまりなくなってきている。だいたい「シリコンバレー」という単語そのものが、インターネット以前にできたもので、それは「地域性」が非常に色濃かった時代のものだ。インターネットが空気のように普及した現代では「地域性」は薄れていくのは当たり前だ。テクノロジーもイノベーションも、「地域」の時代ではなくなった。だから今は「シリコンバレー」ははるか米国のことではなく、あなたの机の上のPCだったり、あなたが道端を歩いていて見つけたビジネスアイデアだったりする。そういう時代になったのだ。

「シリコンバレー」は既に「地域」の名前ではない。