「ママ、ご飯まだ?」を見てきた

一青妙原作の、映画「ママ、ご飯まだ?」を見てきた。ちょうど、ぼくなどの年齢の幼少の頃の家庭の雰囲気も出ていて、懐かしい感じがする映画だった。ストーリーは、簡単にまとめてしまえば、一青妙、一青窈さんの姉妹のこれまでの半生が、その母親を中心に描かれた、静かな映画である。妹が生まれたときのこと。父親の死、そして母親のもとで姉妹は育ち、母親もまた、若い姉妹を残してがんで旅立ってしまう。どこにでもある、と言えば言えるが、それぞれがそれなりに喜び、悲しんでその日を一生懸命生きてきた記録である。派手なアクションとかとんでもない場面が出てくる映画ではなく、一青妙さんのエッセイの静かな雰囲気をそのまま映画にしたような感じだ。1960年代あたりの高度経済成長期に日本で生まれて育った人には、懐かしい場面がいっぱい出てくる。一青妙さんご自身も、ちょっとだけ出てくる、という演出も面白い。あぁ、うちの家庭もこんな感じだったよなぁ、と思い出す。

台湾料理もたくさん出てくる。大根餅、台湾風ちまき、豚足、などなど。映画が終わると、腹が減る映画だが、帰り際、上映された場所にほど近いところに台湾料理店を発見してしまったが、そこに足が向かないようにするのに苦労した。大きなスクリーンに豚足を煮ている鍋が写ったりするのは、いくらなんでも目の毒胃に悪い。

実は私のFacebookの友人の中に、この一族の方がいる。そういう意味でも、個人的にとても身近に感じられる場面の多い映画だった。その場で、台湾の関係の懐かしい方々にもお会いできた。

日本映画に、こういうものもあっていい、と言わせるほどに、ある意味「よく出来た」映画である。高度経済成長期の日本とはこういうところだった、そして台湾とはこういう関係だった、ということが、肌で感じられる、そんな映画。この「エッセイを映画にする」試みは、元のエッセイの持つ雰囲気の心地よさをほとんどそのまま出している、という妙によって、成功している、と、私は思う。

日本の高度経済成長期の「家族」。その成長が終わる。変わる新しい時代には、こんな家族はもういないのかもしれない。そういう懐かしさも、またこの映画に漂っている。