モバイルバッテリーにもPSEマークが必要になる。

昨日のニュースでは、モバイルバッテリーでも、「PSEマーク」をつけることが義務つけられそうだ、とのことだ。

モバイルバッテリーは要するに充電式電池を内蔵したスマートフォンやタブレットの「充電用の電源」で、家や職場で充電しておいて、持ち歩き、外でスマートフォンの電池が切れたときに、充電するための「スマートフォンの付属品」とみなされているものだ。

多くは中国製などで、日本にも大量に入ってきており、家電量販店などではモバイルバッテリーのコーナーができるほど売れている。スマートフォンが高機能化し、よく使われるので、電池の持ちが悪くなっていることが多く、今はさらに出番が増えている機器の1つだろう。

このPSEマークは一般消費者向けだけではない電気製品の安全を第三者機関が認定した、と言う証拠として貼り付けられるもので、製品は特に安全性が重視される、子供や高齢者が扱うもの、家庭のコンセントに挿して使うものが、その範疇となる。この認定の認定亮は無料だが、認定を受けるための様々な検査項目の設定やその方法など、どうしてもかなりのお金がかかることで知られている。それが「義務」となると、日本で買えるモバイルバッテリーの数は少なくなり、価格は上がり、従って売れなくなる可能性も高い。

モバイルバッテリーが燃えたり爆発する、というニュースはあちこちにあるが、もちろん、現在あるモバイルバッテリーのほとんどは問題ない。ただし、電池の劣化というのはあって、その劣化に従って、買い替え需要がある製品なのだ。つまり「消耗品」である。

このモバイルバッテリーの事故はスマートフォンやPCの電池の爆発事故と同じく話題にはなるが、売られている実数との比で見ると、ごくわずかだ。しかし、問題なのは、むしろモバイルバッテリーについている充電用のUSBの規格だろう。たとえば、iPhoneの最新機種の中には、全く空からの充電で、最大2Aの電流を必要とするものがある。また、タブレットはそれ以上であることも多い。しかし、現行の多く使われているUSB2.0の規格では、この電流はだいたい大きくても1.5Aまでだ。(Wikipediaの記述による)。つまり「足りない場合がある」、ということだ。加えて、新旧の規格のものが入り混じっている。さらに、USB-Cという全く別の規格では、5Vだけではない、様々な電圧を扱うなど、複雑さが増している。USBはもともと電源の規格ではなく、データ通信の規格で、電源については当初あまり重要視されていなかったが「これなら電源供給にも使える」という使い方が増えてきた、ということで、規格化されてきた、という経緯がある。そこで、近年はわざわざUSBの電源関係にだけ特化した規格が付加されるようになってきた。

本来であれば、電源の規格が変われば、間違った使い方がされないよう、そのコネクタの形状も変更してお互いにささらないようにする、ということが必要なのにもかかわらず、それを「文書」「規格」ということで済ませてきた。しかし、USB-Cの登場で、コネクタの形状も変わり、複雑ではあるが、統一が図られている、というのは喜ばしい。しかしながら、このUSB-Cはまだそんなに普及していないので、依然として混乱が続いている。もしもこのさきUSB-Cが使われない、ということになると、逆に混乱はさらに増すだろう。

モバイルバッテリーの電気の出入り口であるUSBの各種規格も、この機会に是非、なんらかの統一規格を作って、その上でのPSEマークの付与を考えていただけるとありがたいのだが。

 


火を吹くモバイルバッテリー(2) 補足

昨日「火を吹くモバイルバッテリー(1)」という記事を書いたのだが、行っていることは単純で「1年以上前に買ったモバイルバッテリーは使うな」ってことだったわけだが、マニアは内部の電池を新品に自分で交換したりすることもできる。秋葉原などで売っているのだが、電池の型番やメーカー、使う個数は内部を開けて調べるしかない。

あと、前に書き忘れたのだが、モバイルバッテリーが火を噴くのは、いくつかの条件が重なったときで、かつ、電池がかなり劣化しているときに限る。基本的に、モバイルバッテリーはそういう状況を考えて作ってあるため、多くの場合は安全なのだが、ときどき「不良品」がある、というように考えたほうがいいだろう。いろいろな条件、というものの中には、長く使って電池が劣化している、ということもあるわけだが、他には、例えば「強いショックを与えたとき」「周囲の温度が異常に高いときや低いとき」などがある。

しかし、不良品の電池なんかは掴まされても、まるでわからない。電池に「不良品」なんて書いてあるはずもないからだ。1か月くらい使って、なんだか電池の縁が早すぎる、電池の充電の時間が長すぎる、などと感じたときは、電池が不良品である可能性が高い。そういうときは、もったいない気もするが、そういう電池は破棄したほうが良い。なにせ、電池の爆発で死んだ人や大怪我をした人もいるのだから、甘く見ないで、そういう電池に当たったら、すぐに破棄して、新しいものを買うようにしよう。

また、電池の充電器でも、USBを刺す口が違うと、取り出せる電流容量が違う、というものもあるので、注意が必要だ。


火を吹くモバイルバッテリー(1)

あのニューヨーク貿易センタービルの「September 11」に合わせたわけではないと思うが、2017年9月11日、東京の神田駅で、白煙が上がった。「2年前に一番安いモバイルバッテリーを買ったが、それが爆発した」ということだ。これまでも、iPhoneやAndroidのスマートフォンが爆発して死者が出た例もあるし、PCの電池でも同様の事故が世界のあちこちで起きている。

特に最近気になるのは、外部にケーブルなどでスマートフォンに接続して充電する「モバイルバッテリー」だ。モバイルバッテリーは、中に充電式の大きな容量の充電式電池を持っていて、これに、夜寝ているときなどに充電する。そして、朝起きたら、出勤時などにスマートフォンとともに持って歩き、スマートフォンの電池が空になったときに、このモバイルバッテリーからスマートフォンに充電する、という仕組みだ。大小様々、有名無名様々な製品が非常に多く家電量販店などで並んでいるが、ときどきではあるものの、前記のような「爆発事故」を起こすことがある。最近はこの充電式電池をいわゆる「電子タバコ」でも使っていて、その電子タバコが爆発した例もあるという。

【モバイルバッテリーは1年で買い換えること】
では、こういったモバイルバッテリーを使うとき、なにを気をつけたら「爆発事故」に会わないようにできるのだろうか?これまでの充電式電池の爆発事故の多くは「2年前に買った古い電池」などの電池が事故を起こす例が非常に多い。ということはモバイルバッテリーの事故を起こさないためには、まず第一に「1年たったら、新しいものに買い換える」ことだ。現代の充電式電池は、毎日充電と放電を繰り返していると、だいたい1年で劣化が始まり、2年くらいで寿命を迎える。それでも使うと事故を起こしやすい、ということだ。これは、電池の劣化を考えていない充電器の充電回路に問題がある場合が多く、当然ながら、古いモバイルバッテリーほど、回路も古く、危ないものが多い、と考えるのが普通だ。そういう意味でもより新しいモバイルバッテリーにするのは意味がある。

【充電しっぱなしは問題ない。が、】
よく、「過充電は良くないから、モバイルバッテリーは充電が終わったらすぐにケーブルを抜こう」などのことが書いてある記事があるが、これはほとんどの場合ウソだ。モバイルバッテリーの中には、非常に賢い充電回路があるので、過充電になりそうだったり、電池の温度が上がると、充電や放電を中断する回路などがついている。つまり、充電しっぱなしは、ほとんどの場合、問題がない。しかし、「古いモバイルバッテリー」では「古い電気回路」を使っているものがあり、現時点で2年以上前のものは、電池が劣化する状況をわかっていないものもある可能性がある。そうなると、充電することで、電池が爆発するものがあるので注意が必要だ。いずれにしても、ここでも「2年以上前の古い電池は使わない」ことだ。

便利に使っている人も多いだろう「モバイルバッテリー」だが、それを安全に使うコツは簡単である。「1年で買い換える」「中古は買わない。必ず新品を買う」。これに尽きる。これは、モバイルバッテリーだけの問題ではなく、スマートフォンの電池、タブレットの電池、PCの電池などの全ての充電式電池で言えることだ。

 


スマートフォンなどに使われる「リチウムイオン電池」とはどんな電池か?

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ワイキキのハイビスカス

今は技術というものが一人のものではなく、あちこちの別人に「専門」として、分かれて存在しているから、仕事としては非常に高効率になるんだが、その代わりに、全体を把握している人が少なくなり、たとえば、スマートフォンやPCの電源一つでも「充電式電池の専門家」「AC電源の専門家」なんてのができて、お互いに連携しているんだかいないんだかわからない、みたいな状況になってきている。使う方はそんなこと気にしないで「一流メーカーのものだから、間違っても爆発なんかはしないだろう」と思って使っているのだが、裏側にまわると、いやもう、なんというか「これでいいの?」みたいな場面に当たることはけっこうある。

コストダウンや製品ができるスピードを重視するあまり、じっくりとした仕事はできないから、電源は社内で作らないで外注に任せよう、なんていうことになると、さらにわけがわからない。製品はできるが、気がついたらあちこちで爆発事故が起きた、なんていうようじゃ、製品販売で出た利益が吹っ飛ぶどころか、会社が潰れる危険さえ出てくるし、上場企業であれば株価が暴落、なんてこともあるだろう。

私たちが毎日当たり前のように使っているスマートフォンやタブレット、PCの電池のほとんどが、今は「リチウムイオン電池」というのを使っている。このリチウムイオン電池の特徴は以下だ。

  1. 少ない容積、比較的軽い重さで、多くの電力を貯めておける。
  2. 小型の形状にしやすい。
  3. 一度に大きな電流が取り出せる。
  4. 充電や放電のやり方が難しく、電気回路開発には技術的な難易度が高い。
  5. 電気回路がうまくないと、爆発の危険がある。
  6. 途中まで充電して使い切るとか、放電途中で充電するなどが比較的自由にできる。
    リチウムイオン電池ではない場合は、100%充電してから0%に近いくらいまで放電させないと、再度の充電がうまくいかないことがある(メモリー効果がない)。
  7. 並列の内部抵抗が比較的低いので、充電してから放置しておくと、電池がなくなるのが速い。
  8. 使用温度などの管理を非常にしっかりやっておく必要がある。そうしないと、爆発したりふくらんだりして、性能が劣化する。

しかし、リチウムイオン電池の充電・放電用のIC(半導体集積回路)というものが部品として半導体メーカーから出ており、多くのスマートフォンはそのままそのICを使っている。ここにはリチウムイオン電池の充放電のノウハウが詰まっている。通常はそれでなんとかなる。

これらの特徴はもちろん、リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリーでも同じことが言える。しかし、一番の特徴は「電力をたくさんためておける」ということで、これを「エネルギー密度が高い」と表現する。単位体積あたりに貯めておける電気が多い、ということだ。だから、リチウムイオン電池があるから、機器を小さくできる、とも言える。しかし、爆発の危険は常にあるのだ。今日も今日とて、世界のあちこちで「スマホが爆発しました」なんていうニュースを見ることになる。

では、こういった「スマホ爆発事件」の被害者とならないためにはどうしたらいいだろうか?一番いいのはスマホを持たないことだが、そういうわけにはいかないわけだ。、まずは、充放電については、取扱説明書をよく読んで、その通りの使い方をすることが第一だ。極端に温度が高いところや低いところに置かない、衝撃を与えない、膨らんできたら、すぐに電池を取り替える、など、取扱説明書には多く書いてあるはずだ。その通りにすれば、ほとんどの事故は防げるはずだ。そして、「おかしいな?」と感じたら、すぐにショップなどに駆け込んで実情を説明し、場合によっては電池の交換や新しい電池を買って古い電池を捨てる、などのことが必要になる。

覚えておいて欲しいのは、スマホなどに使われている電池は「非常にデリケートなもの」である、ということだ。だから、説明書通りに、大事に扱うことが必要だ。